2016年度活動レポート(一般公募コース)第259号
先端農業工学を肌で感じる~農学と工学のクロスオーバー~
名古屋大学生命農学研究科からの報告
2016年12月12日から17日にかけて、タイ王国・カセサート大学、チュラロンコン大学、チェンマイ大学、モンクット王工科大学ラートクラバン校(KMITL)およびラチャモンコン工科大学イサ-ン校から、合計10名の大学生・大学院生が、KMITLパマナス・シリソンボーン准教授らの引率によって名古屋大学大学院生命農学研究科を訪問し、「先端農業工学を肌で感じる~農学と工学のクロスオーバー~」と題した1週間の科学技術交流活動プログラムを受講しました。
このプログラムは2014年度から開始され、今回で3回目の実施となります。
タイからの一行は、12月12日朝に中部セントレア空港に到着し、その後、川北一人生命農学研究科長および下村吉治同副研究科長を表敬訪問しました。続いて、土川覚生命農学研究科教授による導入講義を受け、日本における農業工学研究の最先端トピックや、具体的な事例について学びました。
13日には、「分光学的手法に基づく果実非破壊品質評価」に関連した実験を行いました。分光手法の基礎理論を稲垣哲也講師らから学んだ後に、紙工作によって簡単な分光器を作成してもらいました。
その後、実際の分光器を用いて濃度推定のための検量線作成やリンゴの糖度推定を行い、光を物質に照射するだけで成分が推定できる仕組みを理解しました。
14日には、京都府亀岡市にある(株)スプレッドを訪問し、最新の人工光利用型植物工場を見学しました。照度、温度や湿度だけでなく、二酸化炭素量等も制御してレタス等を栽培していることに強い興味をもち、見学中に多くの質問が寄せられました。
15日には、「植物工場での計画生産」に関連した基礎実験を行いました。電気回路設計の基礎理論を横地秀行准教授らから学んだ後に、ニンジン等の電気インピーダンス測定を行い、このような工学技術が農学分野で活用されることの意味・意義について考えました。
16日には、静岡県三ヶ日農協を訪問し、ミカン選果場を見学しました。1個1個のミカンに近赤外光が照射され、その透過スペクトルから糖度や酸度を推定するとともに、可視カメラによって色や大きさを計測して、品質を総合的に評価するシステムを詳しく見学しました。
17日の午前には、生命農学研究科内で河野澄夫鹿児島大学特任教授による「農業分野における近赤外分光法の利用」と題された講演を聴講し、同法の利活用についての現状と展望について、幅広く学びました。
その後、今回の科学技術交流活動プログラムの感想や学んだことなどについて参加学生が発表し、最後に土川覚教授が修了書を授与しました。
12月18日午前に、一行はタイに向けて帰国しました。