2016年度活動レポート(一般公募コース)第257号
工業都市室蘭で学ぶ日本のものづくりと科学技術
室蘭工業大学からの報告
平成29年1月8日から1月14日まで、気温約30度のマレーシアからトゥンクアブドゥルラーマン大学(以下、UTAR)10名の学生(学部生9名と大学院生1名)を、厳寒の北海道にある室蘭工業大学(以下、本学)へ招へいしました。
2日目、小野真嗣准教授の案内説明で有珠山洞爺湖ジオパーク訪問。有珠山に隣接、今も噴気を上げる昭和新山を麓から観察後、有珠山や洞爺湖を一望できるサイロ展望台に移動し、ジオパークの全貌を確認しました。午後は、火山科学館を訪問し、有珠山の歴史、噴火のメカニズムや自然災害への備えについて学習しました。
3日目午前、清水一道教授による講義「日本のものづくりについて」では、日本の鉄鋼、自動車産業の技術について学び、午後は、超精密金型部品を製造する室蘭市内の企業「キメラ」を見学しました。
“IT技術”による徹底した作業の自動化とそれでも機械では及ばない“匠の技”の融合による高精度な部品製造について見学しました。10年の経験でようやく半人前の技術に及ぶという手作業の工程もありました。
4日目午前の実験は、本学ものづくり基盤センターでのものづくり体験です。ものづくりの基本(鍛造、旋盤、溶接、鋳造)のうち、鋳造を体験しました。清水教授の指導とセンター技術スタッフの支援により、参加者は全員、鋳物プレートを完成させました。
午後、吉田英樹准教授のオンサイト授業では、まず「キルン式ガス化溶融方式」のごみ処理施設「メルトタワー21」を見学しました。
ダイオキシン類規制対応のため、ごみを燃やすのでなく、破砕後に熱分解(メルト)し、残った廃棄物を溶融スラグとして回収する方法について各工程を見学しながら学びました。
また、溶解スラグの再利用や隣接ごみ処理の過程で発生する熱のリサイクルについても学びました。
次に白鳥大橋を車で渡り、白鳥大橋記念館でこの大きな土木事業の設計から完成までを吉田准教授が説明しました。
5日目午前は、情報電子工学系学科で講義の後、研究室訪問ツアーを行いました。岸上順一教授の講義「IoT×Blockchain×AI」では、モノのインターネット(IoT)と人工知能(AI)に特定の第三者機関の仲介なしで安全に取引できるBlockchain技術が加わることにより、世界に画期的な変化をもたらすというお話がありました。
午後は、原子炉など大型鋳鍛鋼品製造で世界的にも知られる日本製鋼所室蘭と同社の検査部門から独立し、検査技術を提供する日鋼検査サービスを見学しました。
6日目、参加学生10名は、専攻分野により2グループに分かれて学科訪問しました。応用理化学系学科では、大学院生が使い方をマスターしなければならない全ての実験装置の説明を受け、界面化学研究室で実験を見学しました。
研修学生は、豊富な実験設備に驚いていました。機械航空創造系学科では、システム制御工学研究室で体操指導ロボット、湿原環境移動ロボット、自律4輪バギー等のデモンストレーションがあり、研修学生はロボットの種類の豊富さに驚いていました。
研修学生は、その他の時間も本学学生との交流を深め今回の訪問に大満足したようです。