2016年度 活動レポート 第248号:電気通信大学大学院情報理工学研究科

2016年度活動レポート(一般公募コース)第248号

過渡吸収法による有機無機ハイブリッド太陽電池のダイナミクスの評価

電気通信大学大学院情報理工学研究科基盤理工学専攻
沈青さんからの報告

平成28年11月14日~12月3日の20日間、中国合肥物质科学研究院の朱俊(Zhu Jun)研究員を電気通信大学大学院情報理工学研究科基盤理工学専攻沈研究室に招へいし、大変充実した共同研究活動を行いました。

主な共同研究の内容について、以下に簡単にご報告します。

①硫化物(Sb2S3)薄膜の作製と評価

従来の作製法と異なる新しい溶液法を用いて、硫化物(Sb2S3)薄膜の作製を試みました。大変均一な薄膜ができたので、増感型太陽電池への応用が期待されます。

X線回折(XRD)パターンから、作製した硫化物膜の結晶構造を同定できました。また電子顕微鏡(SEM)観察より、作製した薄膜はナノ構造を持つことが判明しました。また、作製条件を変えることにより、そのナノ構造の制御が可能であることが分かりました。

今後続きまして、この硫化物薄膜の作製と太陽電池への応用に関して共同研究を行う予定です。

写真1
朱俊(Zhu Jun)研究員が硫化物薄膜の作製を行う様子
朱俊(Zhu Jun)研究員が硫化物薄膜の作製を行う様子

写真3
朱俊(Zhu Jun)研究員が作製した硫化物薄膜試料の写真

②ペロブスカイト試料における光励起キャリアダイナミクスの評価

朱俊(Zhu Jun)研究員は過渡吸収(TA)測定装置の原理と使い方を習得した後、TA装置を用いて、ペロブスカイト試料における光励起キャリアダイナミクスの評価を行いました。

写真4
朱俊(Zhu Jun)研究員が過渡吸収(TA)測定を行う様子

各条件で作製した試料に対して、TA測定における励起光強度と励起波長を系統的な変化させました。TAの測定結果より、ペロブスカイト試料中の光励起キャリアダイナミクスを明らかにしました。

写真5
朱俊(Zhu Jun)研究員が過渡吸収(TA)測定を行う様子

③講演会

朱俊(Zhu Jun)研究員がこれまで中国で行っていた研究について、沈研究室にて講演を行ってくださいました。講演の題目は「Interface Engineering in Quantum Dot and Hybrid Solar Cells」でした。活発な議論が行われ、大変有益な講演会になりました。

④沈研究室での交流

朱俊(Zhu Jun)研究員は、沈研究室の先生や学生と、とても仲良く交流しました。研究のことだけではなく、日本と中国のそれぞれの文化や習慣などについて幅広く議論もしました。

写真6
朱俊(Zhu Jun)研究員の講演会にて活発に議論する様子
写真7
朱俊(Zhu Jun)研究員の講演会にて活発に議論する様子

写真8
朱俊(Zhu Jun)研究員が沈研究室の研究内容について交流する様子
写真9
朱俊(Zhu Jun)研究員が沈研究室の研究内容について交流する様子

大変友好的で良い雰囲気であったと思われます。色々な方面から、今後のさらなる共同研究のためのよい基盤ができたのではないかと感じています。

写真10
朱俊(Zhu Jun)研究員が沈研究室の学生さんと仲良く交流する様子