2016年度活動レポート(一般公募コース)第247号
食循環型社会構築と生物資源有効活用に向けた交流プログラム
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科教授 山崎伸二さんからの報告
21世紀に入り世界人口の益々の増加が見込まれ、先進国と発展途上国が協力し合って環境に配慮しつつ経済を発展させながら安全な食料供給を行なう循環型社会を構築していくことが求められています。
一方、熱帯・亜熱帯地方の植物や食品生産過程で排出される廃棄物の中には、有効利用できる生物資源が含まれている可能性があります。
このような背景のもと、地理的、文化的な繋がりが強く、食料の輸出入国という関係でも重要なASEAN諸国に我が国の最先端科学技術を紹介し、また将来を背負って行く両国の若者が交流しながら標記の課題について相互に考える機会を持つことができました。
ベトナム、カントー大学農学応用生物学部とタイ、カセサート大学獣医学部の学生が平成28年10月2日から8日までの7日間来日し、大阪府立大学と大阪大学で企画した様々なプログラムに参加しました。
グランフロント大阪にあるナレッジキャピタルの訪問、大阪府立大学りんくうキャンパスとなかもずキャンパスの見学と獣医学専攻、応用生命科学専攻、緑地環境科学専攻における食の安全や生物資源の有効利用に関する研究活動の紹介、大阪府立大学の辻学長表敬訪問、大阪大学吹田キャンパス、特に薬学部と生物工学国際交流センターの訪問(薬用植物園や産学連携共同研究センター)と施設見学や先端技術に関する講演、さらに、大阪府立環境農林水産総合研究センターを訪問し、施設見学や研究紹介をして頂いきました。
東京大学の食の安全研究センター長の関崎教授と神戸大学食の安全研究センター長の大澤教授を招へいし、大阪府立大学と大阪大学主催のさくらサイエンスシンポジウムも開催しました。
大阪府立大学からは5名の教員が、大阪大学からは2名の教員が講演した。内容は食品廃棄物からのバイオマス生産や環境保全に基づく持続性ある食生産から食生産過程における薬剤耐性菌の諸問題や食中毒細菌の制御等食の安全に関する様々な話題が提供されました。
これらの中にはタイやベトナムで展開された共同研究成果も含まれていました。カセサート大学のタヌー講師からは獣医学部の紹介、カントー大学のハー准教授から食品工学科、ヌー准教授から獣医学科の紹介をして頂き、今後の連携についても議論しました。
最終日は、ウエノフードテクノの三田工場およびR&Dセンターを訪問し、施設見学や国内や海外、特にタイを中心に展開されている食の安全に関する事業概要についての紹介して頂きました。
参加した学生から質問がでるなど、学生の関心の高さが伺われました。
その後、りんくうキャンパスに戻り修了式を行い、参加者1人1人に山崎から修了証書を手渡しました。両大学の学生共に本プログラムの内容に満足してくれおり、日本の文化や食の安全や生物資源の有効利用に関する科学技術に興味を持ってくれたようです。
このプログラムが将来、日本とタイやベトナムとの橋渡し役となり、食循環型社会構築と生物資源の有効活用に向けた課題解決の一助になることを期待します。