2016年度 活動レポート 第245号:横浜市立大学

2016年度活動レポート(一般公募コース)第245号

台湾—日本フォーラム2016の開催を振り返って

横浜市立大学准教授 小島伸彦さんからの報告

昨年の2015年夏、横浜市立大学大学院・生命ナノシステム科学研究科の生命環境システム科学専攻に所属する大学院生を対象として、英語能力や国際感覚を養うための海外リトリートプログラムが開催されました。

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横浜市立大学YCUスクエアで実施した学生主体の国際シンポジウムの様子。英語を使った国際会議のトレーニングとして、発表者だけでなく座長も学生が担当し、すべて英語で実施しました。

台湾の国立虎尾科技大学を訪問して英語によるシンポジウムを開催し、横浜市大と虎尾科技大の双方の学生が研究内容を発表しあいました。

また、台湾の景勝地や歴史地区の訪問などを通じて双方の学生達が交流を深め、予想以上の成功を収めることができました。その背景には大学宿舎を用意するなど、虎尾科技大担当教員の並々ならぬ気遣いがあり、横浜市大の教員もその配慮に大いに感化されました。

東京大学大学院工学系研究科の酒井康行研究室を訪問。iPS細胞の大量培養技術の開発に携わる堀口一樹博士研究員のレクチャーを真剣に聞き入る訪問団。

本年2016年は前年の厚遇に答える形で、横浜市大でシンポジウムを開催したいと考えましたが、問題は訪問団を受け入れるための宿泊施設が横浜市立大学にはないことでした。しかしながら幸運にもさくらサイエンスプログラム事業に採択され、8月29日から9月4日の日程で虎尾科技大学の優秀な学生達を招へいすることができました。

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横浜市立大学YCUスクエアで開催された懇親会。国際シンポジウムでは発表優秀者を参加学生達の投票で選出した。優秀者には荻原保成横浜市立大学客員教授から賞状、盾、副賞が贈られました。

さくらサイエンスプログラムのサポートは手厚く、台湾の学生達は安心して来日することができました。

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横浜市立大学の先端医科学研究センターの各フロアを訪問した。画像は腹腔鏡手術のトレーニングやリハーサルを行う「手術シミュレータ」を体験している様子。

シンポジウム以外にも日本の再生医療や先端医科学などに関する最新の研究を学んでもらう目的で、横浜市大内部では八景・福浦・鶴見の各キャンパスのツアー、横浜市大外部では理化学研究所横浜事業所・TEPIA先端技術館・東京大学工学部の訪問を実施するなど、非常に充実したプログラムを実施することができました。

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先端技術館を訪問。英語での解説を聞きながら、日本の先端技術を学びました。
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先端技術館では体験型のブースも多数あり、楽しみながら日本の技術を学びました。

また、日本の景勝地や文化を学ぶ課外的な取り組みも企画し、江ノ島やみなとみらいの訪問、居酒屋の体験、家電量販店や衣料品店でのショッピング、東京下町(谷中〜千駄木〜根津)の散策、そして屋形船での修了式および送別会と、台湾の学生も大いに満足してくれる内容になったのではないかと考えています。

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屋形船で東京湾の眺めを楽しみながらの修了式および送別会。
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日本の先端技術や文化を学ぶプロジェクトを終えて、今後の継続的な交流を決意したメンバー達。

2回目のシンポジウム開催ということもあり、昨年も参加した学生同士は何年も前からの親友のように再会を喜びあっていました。

そのような雰囲気のおかげで、初参加の学生たちであっても、打ち解けた雰囲気で交流していた姿が非常に印象的でした。

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横浜市立大学・先端医科学研究センターの研究員や学生との交流会の様子。日本の先端医科学に関する話題から台湾の文化の成り立ちや観光名所まで、様々な話題で盛り上がりました。

英語によるシンポジウムもそれぞれがしっかりと準備を行ってきたことが伺え、英語での発表に慣れるという目的もしっかり達成できたと考えています。

私自身もほぼ全日程に同行し、台湾の学生や教員との交流を心の底から楽しむことができました。

今回のプログラムが成功したのは、全日程を通して元気に参加してくれた台湾学生達と引率教員の江卓培先生、プログラム実施を様々にサポートしてくれた横浜市大の学生達、同じく力を貸していただいた横浜市大の教員及び事務スタッフの皆様、そしてさくらサイエンスプログラム事業を運営する皆様のお陰です。心から感謝申し上げます。

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さくらサイエンスプログラムを利用して参加した台湾国立科技虎尾大学のメンバーと横浜市立大学のメンバー。