2016年度活動レポート(一般公募コース)第240号
先進的な社会福祉の実践を体験・学習するプログラム
東北多文化アカデミーからの報告 金子政時さんからの報告
一般財団法人東北多文化アカデミーでは、2016年11月6日~11月15日の日程で、中国国内七大学の学生および教員15名を招へいし、高齢者福祉の先進的な教育を行っている東北福祉大学の研究・実践に触れるプログラムを実施しました。
15名の招へい者たちは、予防福祉・リハビリテーションの取り組みなどに触れて、福祉への関心を一層高めたようでした。
招へい者たちは、まず本プログラムのオリエンテーションとして、東北福祉大学健康科学部リハビリテーション学科学科長の樋渡正夫教授による講義を受けました。
そこでは、従来の後遺症としての障害に対応するリハビリテーションのみならず、「疾病・障害の予防」や「介護予防」まで総ての人の「生活機能」を支えるリハビリテーションという考え方が近年定着しつつあること、保健・医療・福祉における生活機能とQOL(生活の質)の向上を目指す「健康科学」としての発展が期待されていることなどの紹介があり、参加者は非常に熱心に講義に聞き入っていました。
2日目午後からは、見学・体験のプログラムが始まり、関連福祉施設であるせんだんホスピタルや、せんだんの丘などにおける介護・福祉の実践に触れました。
また、高齢者のみならず、児童や思春期にあたる青少年への精神疾患ケアの理論や実践などが行われている施設の見学や講義なども受講しました。
また、感性福祉研究所、、予防福祉増進室で、予防福祉サービスの開発プログラムであるクリニカルアートやノルディックウオーキングの体験なども行いました。
中国でも高齢化が急速に進行しており、日本が先駆的に取り組む介護予防やリハビリテーションの分野には関心が高くなっています。
この分野での研究・教育・実践が融合した東北福祉大が提供する予防福祉サービスの質の高さには、リハビリテーションの専門職を目指す多くの参加者が強い関心を寄せており、講義の際には、次々に質問の手が挙がり、プログラムに関わった先生方も大変喜んでおられたと伺っています。
10日間におよぶプログラムの間には、国見キャンパスにある坐禅堂での座禅、茶室道庵での茶道体験、芹沢銈介美術工芸館でのしおり作りなども行い、日本の文化や芸術への理解を深めました。
また、東松島など東日本大震災で被災した地域も訪れ、被害の甚大さを認識する機会もありました。今回は、東北福祉大学学生とともに自国や地元の料理を作って食べたり、被災地への訪問をすることなどを通して、同じ分野を学ぶ者同士の深い交流が生まれたようでした。
最終日の発表会においては、「日本の礼儀正しさ、美しい環境と長寿が関係すると感じた」「体調を崩して医者にかかったが、薬を渡すだけでなく人を大事にする姿勢に感心した」「交流した学生の行動が愛と親切に溢れていた。福祉への前向きな精神、態度に感動した」などの感謝のことばが述べられ、樋渡正夫教授より全員に修了証が手渡されました。その後、再会の願いを胸に、招へい者たちは仙台を後にしました。