2016年度活動レポート(一般公募コース)第232号
嫌気性生物技術を用いた循環型社会の構築に向けての学術交流
東北大学大学院工学研究科からの報告
さくらサイエンスプログラムの支援のもと、2016年10月23日から10月30日にかけて東北大学大学院工学研究科に中国科学院生態環境研究センターおよび中国科学院大学の大学院生4名、研究者3名と教員1名を招へいし、「嫌気性生物技術を用いた循環型社会の構築に向けて」をテーマとした科学技術体験プログラムを実施しました。
本プログラムでは、工学研究科土木工学専攻の環境保全工学研究室が循環型社会・低炭素社会形成に向けて取り込んでいる最先端の省エネ型嫌気性生物処理技術について学術交流を行い、また特色ある現場見学による日本の優れた排水処理・廃棄物循環技術の理解を通じて、中国科学院生態環境研究センター・中国科学院大学と東北大学の学術交流を促進させました。
来日2日目は、東北大学において本プログラムに関するオリエンテーションを行った後、キャンパス内および環境保全工学実験室を見学しました。先進的な研究施設に触れることで環境研究に関する視野を広げることができただけでなく、日本での実験室の日常と徹底した安全管理体制の体験は大いに刺激になったようでした。
その日の午後は香港大学のFang教授を招き、排水・廃棄物処理に関する数十年の研究経験に基づいた省エネ型生物処理技術の発展経緯と、今後の研究方向についての講義を受け、また合同セミナーとして環境保全工学研究室の学生の研究テーマについて討論を通して互いの交流を深めました。
3日目と4日目は仙台市周辺の施設見学を行いました。東日本大震災よる被災および復旧状況、復旧を支えた超高負荷対応排水処理施設と、2016年3月に完成した新排水処理施設を見学し、災害に強く、環境にも配慮した未来志向型の下水処理理念を学びました。
また津波被災地訪問の途中に立ち寄った「日本三景」松島の観光も含め、豊富な見学内容に満足してもらえたと思います。
仙台市ジェイネックスバイオプラントでは、食品残さ等の有機性廃棄物を電気・ガス・たい肥にするゼロエミッション資源リサイクル事業について学びました。
同施設は、資源の有効利用を目指した資源型社会形成に重要な役割を果たしている施設であり、「環境と社会に配慮した理念は非常に勉強になった」「今後中国にも必要な技術である」と皆さんが感想に述べていました。
5日目から7日目にかけて訪問したつくば市にある国立環境研究所は、水環境の保全・再生と廃棄物・資源循環に関する国内で代表的な研究活動拠点であり、途上国に適合可能な生態工学技術などについて学びました。
日本宇宙科学センターへの訪問機会も設定し、日本の様々な科学技術分野における発展を体験してもらえたと思います。
7日目の午後は、東北大学で交流成果発表会を行いました。この一週間の成果と感想を発表して貰った後、さくらサイエンスプログラム修了証を授与しました。
今回の交流事業では日本における最新の排水処理・廃棄物循環技術についての紹介を通して、日中両国の生活、社会文化、科学技術の相違に関する興味を引き出し、再来日へのモチベーションを向上させることができました。
また合同セミナーを実施する中で、中国科学院生態環境研究センターの学生や研究者たちの学術研究に対する熱心さに深く感心しました。
今回のプログラムにより、中国の環境研究の重要拠点である中国科学院生態環境研究センターおよび中国科学院大学との交流が深まり、中国における環境問題の解決に向けて将来的に大きな貢献ができることを願っております。
このような貴重な機会を提供して頂きましたJSTならびに関係者の皆様に感謝致します。