2016年度 活動レポート 第222号:広島大学大学院芸術工学研究科

2016年度活動レポート(一般公募コース)第222号

都市発展に伴う良好な建築、景観創出と更新計画のあり方を学ぶ

広島大学大学院芸術工学研究科からの報告

2016年11月11日から20日まで、大連理工大学の大学院生6名と教員1名、大連民族大学の学生3名が来日しました。後述する盛り沢山なメニューをこなし、参加者はもとより日中双方の関係者にとっても大変有意義な機会となりました。

なお、今回の来日は、前半の日中共同の建築設計ワークショップ(以降、WS)と、後半の広島地域、京阪神地域の建築・都市計画の見学に大きく分けられます。以下では日程に沿ってその内容を簡単に紹介します。

まず、11日午後、補助をいただいた一行が広島空港に到着しました。夕刻からは広島大学生協食堂を会場として、歓迎のレセプションを開催しました。

プログラム参加者のみならず、WSに参加する中国側、日本側の教員、学生、合わせて40名が参加する盛会で、親交を深めました。

続く12日午前中は、広島市内からの統合移転がなされた広島大学東広島キャンパスを見学し、その計画のあり様について本学塚本教授の概説によって日本の都市計画技術について学習しました。

東広島キャンパスの都市計画についての本学塚本教授による解説

午後は翌日のWSの準備作業を行い、13日には大連理工大学、大連民族大学、広島大学のグループごとに大連市の東関街再開発をテーマとした設計案を発表しました。

このWSは日本人学生が9月に訪中し、その時点から日中の学生が共同で着手していたもので、約2ヶ月間の成果に対して各大学の教員から講評を受け、参加者には大きな刺激となりました。

日中WSの参加者一同
日中WSでの全体講評
日中WSでの中国人学生による発表

続く14~16日は広島地域を見学しました。14日はあいにくの雨模様でしたが、世界遺産であり日本三景の一つでもある厳島神社を訪れました。

日本の伝統文化、伝統技術に触れる初めての体験でもあり、参加者が建築系の教員、学生であることもあって、専門的観点から多くの質疑がありました。

さらに、最近、弥山山頂に竣工した三分一博志作の展望台を見学し、国立公園でもある宮島の雰囲気に調和した木材を多用した作品から、日本の現代建築の設計技法について学習しました。

翌15日は広島市内を見学し、平和記念資料公園では原爆の惨禍について学ぶと共に、丹下健三の手による資料館、慰霊碑、原爆ドームの軸線に基づく都市計画と、厳島神社と背後の弥山との軸線との共通性について、本学千代准教授より説明がなされました。

原爆ドーム近くでの本学千代准教授による解説

16日は好天に恵まれ、広島を含む瀬戸内海地域の発展史について学習しました。

最後の17~19日は京都、大阪、神戸の3都市を巡りました。17日は原広司作の先進的な京都駅ビルを見学し、京都の街並みに調和する建物、景観規制のあり方について学ぶと共に、高瀬川沿いに建つ安藤忠雄作品Time’sから現代的な建築技法を、さらに龍安寺、金閣寺から伝統的な建築技法についての説明を受けました。

京都駅ビルの見学

翌18日は、大阪大学の松塚教授のご協力を得て、大阪ステーションシティの新しい都市開発と、新地や中之島における歴史の残る街並みの紹介に基づいて、大阪の新旧の街の姿についてご講義を受けた後、あべのハルカスに導入された最新の設備システムの見学を行いました。

御堂筋の高さ規制に関する大阪大学松塚教授による解説

最終日の19日は、大阪大学の山中教授に神戸市内をご案内いただき、震災復興の観点から、三宮からメリケンパークまで多くの震災遺構を見学すると共に、人と防災未来センターで最新の減災・防災のあり方について学習しました。

震災遺構に関する大阪大学山中教授による解説

19日夕刻より広島に移動し、参加者は20日に帰国の途につきましたが、いずれの参加者からも大変、肯定的な意見をいただくことができました。

広島市内の最新のごみ処理場の見学
修了証を手にする招へい者と実施担当者