2016年度活動レポート(一般公募コース)第221号
先端技術を活用したモノ・コトのデザイン実践体験
名古屋市立大学大学院芸術工学研究科からの報告
2016年11月14日から23日までの10日間、さくらサイエンスプログラムによる交流活動として、タイ南部のプリンスオブソンクラー大学(PSU)の学部生9名と1名の若手教員(引率者)を招へいしました。
モーションキャプチャの体験学習や3Dスキャナ・3Dプリンタを活用したデザインワークショップを始め、今回の交流活動において体験する主要な項目について、現地の教員と綿密に連絡を取り、事前学習を十分に行いました。
そのため、モーションキャプチャや3Dスキャナ・3Dプリンタを活用したデザインの実践体験では、事前に取得した知識を確認し、応用事例を直接見ることと、作品制作を実践することで、より深い理解と応用力を得ることができた様子でした。
特に、3DCGソフトウェアで自分たちが作成したキャラクタが、積層型3Dプリンタから立体形状として徐々に出来上がってくる過程を見ている時は、とても興味深い様子で、貴重な体験になったと思います。
また、名古屋市科学館、トヨタ産業技術記念館、トヨタ博物館、リニモ(日本で唯一の磁気浮上式リニアモーターカー)車両基地見学を行いました。
名古屋市科学館では、TAである本学学生をガイドとして、体験型の展示を楽しみながら観覧し、科学の先端に関する知識を深めることができました。
トヨタ産業技術記念館では、初期の自動織機の実際の稼働場面を見学し、また、自動車の製造技術の歴史や最先端の技術を学ぶことができ、「モノづくり愛知」ならではの体験ができました。
タイ南部では体験することが少ない技術関係の展示やリニアモーターカーの仕組みなどには、全員強い興味を持っていました。
名古屋市立大学の薬学研究科・薬学部の研究室や最先端の実験装置の見学も行い、生命科学分野の先端研究の一端を見ることができました。顕微鏡によるラットの脳細胞を見る経験等はとても貴重なものでした。
本学の人文系学部の図書館の見学や、教養の地域連携体験型教育の聴講なども行いました。日本の大学の教育研究環境や、日本人の大学生の勉強している様子も知ることができました。
期間中TAを担当した日本人の学部生や、大学院生との交流も活発に行われ、お互いに普段接することが少ない外国人との交流に、文化の違いや考え方の違いを知るだけではなく、宗教感の違いや社会情勢の違いにも触れました。
異文化の環境に身を置き、そこに暮らす同世代と共にさまざまな体験を行ったことにより、異文化への理解や自身の視野を広げることができたと思います。
また、本学学生と招へい学生との間で、FacebookなどSNSでの交流のきっかけを作ったグループも複数あり、プログラム終了後の、インターネットを通した継続的な交流に発展すると良いと思います。
招へい学生が今回の経験を通して、日本の科学技術やデザインについてより強い関心を抱き、日本の大学院での研究活動や日本企業、あるいは、現地での日系企業での就職に発展することを期待しています。
特に、招へい先のPSUと名古屋市立大学との交流協定締結に向けては、この招へいが契機となり、大学本部や関係学部の合意形成を加速できたことは成果のひとつです。
さらに、特筆すべきことは、プログラム実施直後に、PSUから本学への短期および長期の留学希望者を得ることができました。