2016年度 活動レポート 第218号:岡山大学農学部

2016年度活動レポート(一般公募コース)第218号

岡山で学ぶ地域社会に貢献できる先進農業技術

岡山大学農学部からの報告

本プログラムでは、2016年9月19日から26日の8日間、タイ・カセサート大学の学生10名を招へいしました。招へい学生に「地域や社会とのつながりを大切にした実践的かつ先進的な農学」を学んでもらうことにより、「タイの農業生産、地域経済の活性化に貢献してもらうこと」が本プログラムの目的です。

初日のオリエンテーション後、2~3日目は、メインキャンパスにおいて、「環境保全と効率的な食料生産」、「生物資源・機能と人間生活」、「高度生殖補助医療技術」、「高品質果樹・花き生産技術」の4つのテーマで、講義と実習が行われました。

一例ですが、トマトの色や形をセンサーで認識し、収穫適期のトマトだけを収穫する「トマト収穫ロボット」に興味を持った様子でした。タイでも若者の農業離れから、労働力不足の問題を抱えているそうです。

トマト収穫ロボットの実演

メインキャンパスから10㎞程離れた津高牧場では、肉用牛の黒毛和種の見学をしました。施設では、飼料に納豆菌が配合され、排出される糞が臭いません。

また、運動量カウンターを牛の脚に取り付け、コンピューターで繁殖期を見極めたり、作業の自動化により、80頭の牛を2名のスタッフで運営しています。タイとは異なる管理法について関心を持ち、熱心に質問をしていました。

クリーンで省力化された家畜飼育設備

メインキャンパス最後の研修は、先進的な農法に関する農業実習でした。その中で、最も注目を集めていたのは、きれいに管理されているブドウ栽培でした。タイには、日本のように大粒で美しいブドウはないようです。見学の後は、ブドウ園で収穫されたばかりの新鮮なブドウ数種類を食べ比べ、ご満悦でした。

丁寧に管理されたブドウ園

4~5日目は、エクスカーションを兼ね、本学の資源植物科学研究所(岡山県倉敷市)と、惑星物質研究所(鳥取県三朝町)を訪れました。資源植物科学研究所では、様々な実験機器や世界中から集められたオオムギ遺伝資源などを見学し、最先端の農学研究について学びました。

倉敷といえば、美観地区。天領時代の町並みが残され、映画のロケにもよく使われる場所です。午後は連日の集中講義から解放され、ゆっくりとした雰囲気を楽しみました。

次に訪れた惑星物質研究所は、探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」で採取した試料を解析したことでも有名な施設です。

研究について講義を受けた後、防塵服に身を包み、研究施設を見学しました。農学とは異なりますが、その壮大な研究設備から「最先端」ということを肌で感じることができました。

防塵服を着ての分析機器の見学

また、鳥取といえば、鳥取砂丘。もちろん帰路は、鳥取砂丘を訪れ、初めて見る砂丘、美しい日本を感じました。

週末は、個人の専門に合わせた選択式プログラム、後楽園・岡山城見学、農学部主催のBBQパーティー、成果報告会の準備とあっという間に時が過ぎました。

そして迎えた最終日、日本で学んだ最先端技術、また、日本の文化について、成果報告がされました。加えて、感謝の意を込めて、招へい学生全員で日本の歌を歌いました。短期間でしたが、学んだこと、感じたことが多かったためか、涙を流している学生も・・・。

本プログラムには、本学の学生も毎日参加し、交流を深めました。日本の大学、人々、自然を気に入ってくれたのか、日本での留学について、熱心に聞いてくる招へい学生が多々いました。この交流を基礎として、両大学の研究交流や本学への留学生受入がさらに活発になってくことを願ってやみません。

鉄および硫黄酸化細菌に関する研究
生殖細胞に関する研究機器の説明

癒し、省エネ、温暖化抑制等が期待される壁面緑化に関する研究
農場で収穫されたブドウの試食

質量分析装置の価格を聞いて驚く学生たち
修了式後のグループ写真