2016年度活動レポート(一般公募コース)第207号
ASEAN若手研究者とのグリーンモビリティ材料に関する研究交流
名古屋大学未来社会創造機構准教授 神本祐樹さんからの報告
さくらサイエンスプログラムの支援を受け、2016年11月4日から11月13日までの10日間、チュラロンコン大学(タイ)、マヒドン大学(タイ)、ハノイ工科大学(ベトナム)、ラオス国立大学(ラオス)の3か国・4大学から計8名(各機関2名/大学院生6名・大学生2名)を招へいし、グリーンモビリティ材料に関する研究交流を行いました。
ASEANでは、経済発展に伴って自動車需要が増加する一方で、渋滞の増加を引き起こし、環境に対する意識が高まっています。
本研究交流プログラムは、ASEANの若手研究者が日本の最先端の科学技術に触れ、自動車部品製造で必要かつ発展が見込まれる電気化学について実践的に学ぶことで、低環境負荷な次世代自動車材料(グリーンモビリティ材料)の開発をASEANで推進するための地盤づくりを目的に実施しました。
講義・実験
電気化学を用いた表面処理や材料創製に関連する講義を受け、基礎的な理解を深めた後、本学博士前期課程学生の指導により、金属表面の酸化還元操作による被膜の作製や、液中プラズマによる先端材料の作製などの実験を実施しました。また、実験によって作製した材料の評価に用いる分析機器の使用法についても学びました。
見学
トヨタ産業技術記念館では、世界最大級の企業に成長したトヨタ自動車の自動織機から、自動車産業に変遷した歴史を知ることで、ものづくりを起こし、成長させるための原動力や支えた技術について学びました。日本科学館では、様々な環境問題への取組や日本の最先端の科学技術について理解を深めました。
国際交流
日本大学生産工学部(千葉県習志野市)で開催された「第1回先進自動車技術に関する5大学連携国際シンポジウム」に参加し、ミシシッピ州立大学(米国)、全南大学校(韓国)、同志社大学等、国内外のモビリティ研究拠点の取組と自動車工学の将来展望・産学連携などについて学びました。
施設見学や終了後の交流会では、シンポジウム参加者、および日本大学の学生等と懇親を深め、大学・国・分野を超えた交流を図ることができました。
本研究交流プログラムでは、日本への留学に強い関心を持つ学生・若手研究者を中心に招へいしました。今回の来日をきっかけにさらに日本への興味を深め、日本へ留学するための勉学と研究に励んでいるようです。
実験を指導した本学学生も、招へい者と帰国後も連絡を取り合っており、本学学生の英語によるコミュニケーション能力の向上と、国際感覚の醸成を促進する良い機会になりました。
本研究交流プログラムの実施により、ASEAN3か国・4大学と日本の若手研究者のネットワークが構築され、アジアの将来を担うグローバル人材の育成につなげることができました。
このような貴重な機会をいただけたことに、さくらサイエンスプログラムならびに関係者の皆様に深く感謝いたします。