2016年度 活動レポート 第201号:放射線医学総合研究所放射線防研究センター

2016年度活動レポート(一般公募コース)第201号

中国科学院近代物理研究所の若手研究員との研究交流

放射線医学総合研究所放射線防研究センター勝部孝則さんからの報告

さくらサイエンスプログラム交流事業により、2016年9月22日~10月12日の日程で中国科学院近代物理研究所(IMP)から2名の若手研究員が来日しました。

IMPは、重粒子線発生装置 Heavy Ion Research Facility in Lanzhou (HIRFL)を開発、運営しており、中国の重粒子イオンビーム研究の中心拠点です。一方、放射線医学総合研究所(放医研)では、世界初の医療用重粒子線発生装置(HIMAC)を用いて、1994年から重粒子線がん治療を実施しています。

また、重粒子線の生物影響に関する研究にも取り組んできました。今回、IMPから2名の若手研究者を招へいし、研究交流を行いました。

3週間の滞在期間中、HIMACの見学や重粒子の生物影響研究に関する最新の知見について情報交換を行いました。

また、我々が実施している重粒子線の生物影響に関する研究に参加してもらいました。我々は、重粒子線照射したマウスにおける脾細胞染色体異常についてFluorescence in situ hybridization (FISH)法により解析しております。

ここで得られた実験結果は、将来の共同研究につながる可能性があります。歓送迎会等を通じて文化的な交流を図り、放医研スタッフとの間に信頼関係を構築することも出来たようです。

送別会では、修了証の授与も行いました。


今後の共同研究の推進と再来日を約束して、10月12日に無事帰国されました。その後、電子メール等を利用して共同研究についての具体的な協議を行い、放医研のHIMACで重粒子線照射した試料の一部を、IMPで解析してもらうことが決定しました。

重粒子線を用いた生物影響研究を実施できる施設は世界的にも限られており、IMPと放医研が協力することは、この分野の発展に大きく貢献することが期待されます。