2016年度活動レポート(一般公募コース)第180号
環境問題解決を加速する技術開発のためのアジア国際共同研究
九州工業大学大学院生命体工学研究科 前田憲成さんからの報告
2016年7月17日~8月6日の21日間、さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、マレーシアプトラ大学から大学院生1名、スルタンイドリス教育大学から大学院生1名、合計2名を招へいし、共同研究活動を実施しました。
この活動の目的は、本学大学院生命体工学研究科内に設置されている、次世代シーケンサーやリアルタイムPCRなどの先端機器を、国際共同研究活動に活用し、先端技術の伝授を行うと共に、研究技術開発に必要な基礎データの収集を加速することです。
マレーシアプトラ大学からの招へい者は、水素生産に関わる偽遺伝子の機能解明に向けて、次世代シーケンサーとリアルタイムPCRを活用して研究を進めました。
スルタンイドリス教育大学からの招へい者は、環境中から分離したクロレラ(微細藻類)の窒素飢餓条件における遺伝子発現変化を明らかにするため、次世代シーケンサーとリアルタイムPCRを活用しました。
7月17日に来日後、はじめに電車・バスの乗り方、北九州市内ホテルから本学研究科への行き方、およびイスラム教徒向けの食事処を教示しました。
18日以降は、具体的に研究活動を開始しましたが、18日の午前中に研究室メンバー間で自己紹介を行うと共に、前田准教授(プログラム主担当者)による本プログラムの趣旨などの説明がありました。
午後は、研究室内および他の研究室の見学などを行い、本学研究科にある先端機器の説明を行いました。
19日~8月4日にかけては、各サンプルからのRNA抽出、そのRNAの電気泳動によるクォリティチェック、分光光度計を用いた濃度測定などを行い、そのRNAを用いて、リアルタイムPCRおよび次世代シーケンサーを用いて解析を行い、得られたデータを纏めました。
5日の午前中に、招へい者2名が成果活動報告を行い、得られたデータに対するディスカッションを行いました。
午後からは研究科長からの修了書授与と送別会を行い、この3週間の活動を締めました。
そして、二人の招へい者は、8月6日に無事に帰国しました。
本学では、現在グローバル・エンジニア・コンピテンシーという方針で、海外でも臆することなく活躍できる技術者養成に力を入れています。
2名の招へい者を受け入れることで、当室の日本人学生は英語での会話が不可欠となり、その機会を通してグローバルマインド開花・育成に繋がったと感じています。
実際に、当室の4名の日本人学生が、海外での研修活動に参加したいと申し出て、日本学生支援機構のプログラムを活用させていただき、現在派遣中です。
また、2名の招へい者も、同プログラムでの再来日(現在申請中)を希望しており、継続的に共同研究が進むものと期待しています。
今回の交流プログラムを通じて得た掛け替えのない経験を、参加した招へい者の皆さんも、また本学の日本人学生も、様々な形で今後に活かしてほしいと切に願っています。
最後に、このような機会を与えた頂いたさくらサイエンスプログラム、そして本プログラムの実施を支えて頂いた本学のスタッフの皆さんに深く感謝申し上げます。