2016年度活動レポート(一般公募コース)第176号
高知の農林水産業や環境について学ぶ
高知大学農林海洋科学部からの報告
高知大学農林海洋科学部では、フィールドサイエンスに特化した教育・研究を通じて、アジア地域の環境・食料問題を解決できる人材の養成を目指しています。
昨年度に引き続き、今年度もタイ(カセサート大学・コンケン大学)、ベトナム(ハノイ教育大学)、マレーシア(マレーシアサラワク大学)から11名を招へいし、日本の農林水産業、自然資源の利用と保全、科学技術を学習・体験するプログラムを実施しました。
全てのプログラムには国際支援学コースの学生が同行し、安全確保などの補助的役割を務めるとともに、アジアの学生たちとの交流を深めました。
農林水産業に関しては、農林海洋科学部の南国フィールド(農場)で、野菜や花卉(観賞用になるような美しい花をつける植物)の施設園芸に関する実習を行ないました。
母国ではほとんど見られない、ビニルハウスや品質向上のための様々な工夫について、熱心に学習していました。加えて、旬であったミカンの収穫を行ない、たくさんのミカンを味わっていました。
また、嶺北フィールド(演習林)では、林業機械による人工林の伐採と集材を見学するとともに、質の良い木材の生産に欠かせない枝打ち作業を体験しました。
斜面でのハシゴやノコギリの使用に戸惑いながらも、日本の学生と一緒に枝打ちを楽しんでいるようでした。
その他にも、ユズの生産と加工で有名な高知県の馬路村農協を訪問し、ユズの生産・加工・販売の、いわゆる六次産業の現場を見学して、担当者の話に熱心に耳を傾けていました。
自然資源の利用と保全では、高知県立牧野植物園を訪問しました。
日本の植物学の父と言われる牧野富太郎博士の残した、膨大な数の植物標本やスケッチに感銘を受けるとともに、温室や植生園などが地域の人々の憩いの場として役立っていることを学習しました。
また、ユネスコの世界ジオパークに認定されている室戸岬を訪問し、ジオパークセンターで室戸岬の成り立ちや、地形と地質の特徴などについて知るとともに、観光ガイドの方々にジオパーク内を案内いただき、ユニークな海岸の造形や植物について説明を受けました。
加えて、室戸青少年自然の家のクルーズ船で、海から室戸岬を見学しました。船酔いする学生も出ましたが、特徴的な自然資源と、それを利用・保全している現場を体験する良い経験になったと思います。
科学技術では、高知大学海洋コア総合研究センター、高知県農業技術センターや土佐刃物の工場の見学を行ない、最新の技術や職人の作業を見ることで、専門的な知識や技術の重要性について学習しました。
また期間中には、東京大学生産技術研究所の竹内渉准教授から「Role of remote sensing and GIS in green innovation era」、高知大学地域協働学部の受田浩之教授から「Foods in Kochi ~Conversion of Tacit Knowledge to Explicit Knowledge~」と題した講義をいただきました。
アンケートでは、日本への留学に関するコメントも見られ、よい刺激になったようです。
最終日には東京の科学未来館を見学し、最先端の科学技術を学習・体験できる多くの内容に、興味津々で取り組んでいました。
上記の4大学とは、以前から教育・研究両面での連携を図ってきましたが、今回のプログラムの実施は、更なる連携強化につながったと思います。
今後もこの連携を生かし、フィールドサイエンスを通じた様々な教育・研究プロジェクトを積極的に進めていきたいと考えています。