2016年度活動レポート(一般公募コース)第170号
第10回リニアコライダーに関する国際加速器スクール
高エネルギー加速器研究機構からの報告
さくらサイエンスプログラムの一環として、平成28年12月8日から20日に開催された「第10回リニアコライダーに関する国際加速器スクール」に参加するため、中国科学院高能物理研究所から2名、北京大学から1名、精華大学から1名が来日しました。
この加速器スクールは、2006年に日本で開催したのを皮切りに、欧州、アメリカ、アジアの持ち回りで毎年開催されているものです。
リニアコライダーの基礎から世界最先端の超電導高周波加速技術開発に至るまでを幅広く網羅しており、先端加速器研究開発の道を目指す大学院生には最適のプログラムといえます。
今回のスクールは、高エネルギー加速器研究機構(KEK)のつくばキャンパスと、帝人アカデミー富士(静岡県裾野市)で開催されました。参加学生は50名となり、海外28名、国内22名でした。
12月9日と10日の二日間は、KEKつくばキャンパスにおいて、リニアコライダー加速器と粒子測定器についての一般講義を行いました。
11日からは帝人アカデミー富士(静岡県裾野市)に会場を移し、高周波技術、ビーム制御技術、粒子測定器技術を中心に学ぶ三つのコースに分かれて講義を受けました。
この加速器スクールでは、午前と午後の講義に加え、夕食後に夜10時までの自習の時間が設定されています。
ここでは講師が出した宿題に取りかかりますが、講師たちも自習に参加しており、学生は自由な雰囲気で質問を行うなど、理解を深める貴重な時間を過ごしました。
一方、KEKでの初日(12月9日)の午後は、加速器施設見学が行われました。
SuperKEKBのリングとBelle-II検出器、エネルギー回収型線型加速器(cERL)、そしてリニアコライダー技術開発を行っている超伝導リニアック試験施設(STF)と先端加速器試験施設(ATF)をまわり、専門家の解説を受けました。
参加者は世界最先端の加速器を間近に見て、将来の研究者としての自分を思い描いているようでした。
スクールの中日(12月15日)にExcursionがあり、バスで小田原城と忍野八海を訪れました。
海外の学生の多くは初めての日本訪問でもあり、楽しみにしていたようです。小田原城では記念に仮装体験をするなど、日本の歴史・文化を楽しみました。
最終日には試験が行われました。夕食会では学生と講師が談笑する様子が多く見られました。
夕食会の最後には最終試験の上位成績者13名が表彰されました。さくらサイエンスプログラムで来日した4人の中から3人が選ばれました。
最後に、さくらサイエンスプログラムの支援により参加した学生からは、日本を含め海外の学生と交流しながら学ぶ貴重な経験を得ることができ、非常に感謝しているとの謝意を受けました。
このような機会を与えて頂いたさくらサイエンスプログラムに心よりお礼申し上げます。