2016年度活動レポート(一般公募コース)第155号
実践的ものづくりを通して深まる国際交流
長岡工業高等専門学校
長岡高専では、平成28年12月5日から12月14日の10日間、さくらサイエンスプログラムの交流事業を実施しました。
今回のプログラムでは、モンゴル高専教育センターNGOを送り出し機関の窓口として、モンゴルにある3つの高専生を招きました。
モンゴル高専教育センターは、モンゴル国内に設立された3つの高専を統括する非政府組織機構です。
来日したのは、私立モンゴル高専の3年生3名、モンゴル国立科学技術大学付属高専の2年生3名、私立新モンゴル高専の2年生3名、そして引率教員1名の計10名です。
本プログラムでは、日本の優れた科学技術に関連する以下4項目の内容を選定して実施しました。
1.日本独自の高専教育の特徴である実践的ものづくり交流
2.長岡市内の製造業企業訪問を通した先端技術視察
3.先端技術の広報の場としての新潟県立自然科学館および日本科学未来館の見学
4.科学技術が生かされている学習の場としての水族館、東京スカイツリーなどの見学と体験
以下、それぞれの項目について実施内容を説明します。
1.実践的ものづくり交流
本交流プログラムでは、本校の学生とモンゴルの高専生の混成チームを5班作り、創造力と協業をキーワードとして、グローバルエンジニアを目指す同世代の若者に対して交流の場を提供し、両国の学生の科学技術に対する理解を深めさせることを主な目的としています。
具体的には、機械工学科の教員の指導の下、3DCADと3Dプリンターを用いて便利グッズのアイデア出し、設計、製造を混成チームで実践しました。
成果発表の場も提供し、本校の学生をはじめ、教職員の前でプレゼンテーションを行いました。本校の学生はモンゴル語を話せませんが、モンゴルの高専生は日本語が少しわかりますので、各チームは日本語と英語でコミュニケーションをとっていました。
また、本校電子制御工学科5年生のモンゴル人留学生からもコミュニケーション面で協力してもらったおかげで、和気あいあいとした雰囲気の中、交流が進められました。
モンゴルの高専生と引率された先生は、プログラム期間中、本校の学生寮と平成28年に寮内に新設されたゲストルームに宿泊しました。そのため、本校日本人・留学生の寮生達とも交流を持つことができました。
2.長岡技術科学大学表敬訪問及び地元製造企業視察
最先端技術の研究で有名な長岡技術科学大を表敬訪問し、長岡技術科学大学と最先端技術研究の一部を紹介していただきました。
その後、長岡市内の3つの企業を視察しました。最初に訪問した長岡歯車では、歯車の歴史を学びました。
次にナノテムにおいては、世界的な最先端企業で採用されている、特殊セラミックスの製造技術とその応用について学びました。
ツガミでは、本校で学ぶ電気電子システム工学科3年生の一部の学生達とともに、世界的に市場占有率の高い工作機械製造工程等を視察しました。
また、工場の案内役はツガミで活躍する本校の卒業生であったことも関係してか、見学者達は近い将来の自分達の姿をイメージするかのように、皆真剣なまなざしで案内者の説明を聞いているのが印象的でした。
3.新潟県立自然科学館および日本科学未来館の見学
新潟自然科学館では、人類の生活を豊かにするロボット、マルチメディアに関するコーナー、地球や人類の成長の歴史、プラネタリウムなどを見学することで、科学技術の基礎と最新技術について参加・体験型の学習を行いました。
日本科学未来館では、そのシンボルである、地球をリアルに映し出したGEO-COSMOSに感激していました。その後、様々な体験コーナーで地球と人類の未来について学習していました。
4.水族館、東京スカイツリーの見学と体験
新潟市水族館マリンピア日本海では、先端の水技術を用いて管理・運営する水族館に、興味を持って見学していました。
また、イルカショーでは見学者の中から、モンゴルの学生がイルカに餌を与えるチャンスに選ばれ、皆、興奮気味でした。
また、帰路の移動に併せて実施した東京スカイツリーと浅草探訪では、最先端技術を用いて上がった高層階から眺める東京と、その直下にある日本の歴史ある浅草寺と仲見世通りという、新旧が融合した都市設計に感動していました。
このほかにも長岡市内見学として、県立歴史博物館や国営丘陵公園のウインターイルミネーション見学も実施しています。
本プログラムに参加したモンゴルの高専生、ならびに引率された先生は、「日本の学生と交流し、日本での生活を体験したことで、日本の今を理解することができて大変有意義であった」との感想を述べていました。
最後に、このような貴重な機会を与えてくださいましたさくらサイエンスプログラムに御礼申し上げます。