2016年度活動レポート(一般公募コース)第149号
水美し国日本で学ぶ水管理と環境
金沢大学環日本海域環境研究センターからの報告
2016年11月13から19日の日程で、中国科学アカデミー・南京地理湖沼研究所より10名が、さくらサイエンスプログラムにて金沢大学を訪問されました。
内訳は学生・若手研究者が6名、および研究者のサポートのあたる若手スタッフが4名で、それぞれ異なる目的意識をもたれた参加者に対応するため、バラエティにとんだプログラムを用意するよう心がけました。
金沢大学、金沢市企業局のゴミ処理施設、排水処理施設、浄水場の見学、金沢の地形(河岸段丘)と水利用、湖沼研究成果紹介、琵琶湖博物館訪問、京都大学訪問&ワークショップ開催などに取り組みました。多くの方にご協力いただき、無事プログラムを実施することができました。
金沢大学では、お互いの国の研究教育環境の現状や、そのシステムについて情報交換を行いました。図書館や関連する研究室・実験室を案内したところ、意外にも通りすがりでちらっと見えた講義室に非常に興味を示され、受け入れ側にとっても中国の方の考え方、感じ方を学ぶ機会となりました。
南京地理湖沼研究所は、中国で唯一の湖沼および関連の環境問題に取り組む研究所です。湖の堆積物を利用した湖を取り巻く古環境研究や、水源として湖の水質悪化への対処など、その研究テーマは多岐にわたっており、地域の発展や環境に関する政策に関するシンクタンクとしての役割も果たしています。
そこで金沢市企業局の協力の元、環境関連施設を訪ね、環境を守るための日本の取り組みや、安全かつ高品質の上水の確保について紹介しました。
金沢は水資源が芳醇なことで有名ですが、その利用にあたり、金沢市の地形的な特徴や歴史的な水利用の工夫についても学んでいただく機会をもちました。
犀川・浅野川の下刻により形成された河岸段丘による高地は、水利用を大きく制限するため、その対応策として江戸時代より辰巳用水が建設されています。辰口ダムの取水口や辰巳用水、河岸段丘を案内しました。
また南京地理湖沼研究所にとっては、湖における研究が大変重要です。金沢大学では、加賀の3つの湖(潟)において様々な研究に取り組んできましたので、それらの研究成果の紹介や議論を現地にて行いました。
また日本最大の湖である琵琶湖を訪れ、博物館の協力を得て湖を取り巻く環境を観察するとともに、研究内容や管理について意見交換を行いました。
京都大学の博物館や生存館の見学、ワークショップでの研究成果の発表にも取り組んでいただきました。金沢大学からも留学生が参加し国際交流をすすめました。