2016年度活動レポート(一般公募コース)第145号
震災からの復興と未来を支える科学技術を学ぶ
岩手大学理工学部からの報告
岩手大学では、2016年10月23日~30日の8日間にわたり、アジア4カ国(韓国、中国、タイ、モンゴル)の6大学(忠南大学、大連理工大学、西北農林科技大学、タマサート大学、モンゴル国立大学、モンゴル科学技術大学)から理工学専攻の学生を10名招へいし、「岩手の“大地”と“復興”と“未来”を支える科学技術」のスローガンの元に研修プログラムを開催いたしました。
2日目と3日目には、東日本大震災被災地の三陸沿岸へ本学学生11名と共に行き、一泊二日の現地研修を行いました。
被災地の現状を学び、それぞれの科学分野の新技術創出を考えるため、まず、甚大な被害を受けた田老地区で震災遺構の “たろう観光ホテル” や壊れた防潮堤を見学しました。
大槌町では、同じく大被災を受けた旧大槌町役場や赤浜船着き場を見学し、さらに工事中の宅地の整地や巨大防潮堤を訪れ、復興の現状と課題について学びました。
宿泊先の釜石・宝来館では、実際に津波を体験した女将から話を聞いた後、津波到来時の緊迫した映像に見入りました。
翌日、訪れた岩手大学釜石サテライトでは、本学の水産業による復興への取組の説明を受け、また隣接する岩手沿岸南部クリーンセンターでは、ゴミ処理時に生じる溶融物や排ガスを有効利用する、最新資源循環型溶融処理技術について学びました。
4日目、岩手大学長からの基調講演がなされ、本学の復興への取組の紹介や、ローカルからグローバルへと進む “グローカル” の考え、また新科学技術の重要性の説明を受けました。
教授らからの理工学部紹介や、先端研究であるコイン型空気電池や情報技術によるセンシングの紹介もありました。
午後には、各研究室へ分かれ、それぞれの研究紹介や、復興のための科学技術利用法の議論を行いました。また、その夜には交流会が開催され、本学教職員や学生と交流を深める事ができました。
5日目には、各グループに分かれ、翌日の発表会のための資料作成等を行い、その日の夕食では、回転ずしで日本食の美味しさやそのシステムを体験しました。
6日目は、被災地研修と研究議論をまとめた復興技術の発表会を開き、化学分野の学生は再生可能エネルギーを用いた発電と蓄電、生体工学分野の学生は動物などの生体信号を用いた予知技術、情報分野の学生は3次元画像技術を用いた安全なまちづくりのアイディアをそれぞれ発表してくれました。
また、「My country, My University」の題目で、自国の文化や大学の紹介も行ってもらいました。
最終日には、東京の国立科学博物館や日本科学未来館も見学し、日本の先端技術を学ぶ機会を得ることができました。
今回のプログラムでは、日本も含む計5カ国の学生達が、短期間の異文化交流の中でお互いに協力しながら研究に取り組む事ができ、大変有意義な経験となりました。
招へい学生の中には、日本留学への意欲を持たれた方もいました。最後になりますが、本プログラム実施にあたり、さくらサイエンスプログラムには多大なるご支援を賜りまして心より感謝いたします。