2016年度活動レポート(一般公募コース)第143号
バイオファイナリー研究の最前線を学ぶ
神戸大学からの報告
バイオマスの有効利用を目指して
2016年11月9日~11月16日、インドネシア科学院(LIPI)バイオテクノロジー研究センターの若手研究者を中心とする10名の皆さんが、「バイオリファイナリー技術」に関する神戸大学や関連する企業における研究環境や、活動状況を勉強するために来日しました。
バイオマス資源(再生可能な生物由来の有機性資源で、化石資源を除いたもの)を有効活用して、燃料や化成品を製造する「バイオリファイナリー技術」は、東南アジアに豊富に存在する生物資源や農業残渣などを有効利用して、化学産業を発展させるための重要なテクノロジーです。
まず、日本におけるバイオリファイナリー研究の最前線を勉強してもらうために、神戸大学において複数の若手研究者の先生方から、バイオマス前処理、微生物育種、そして膜分離による効率的な分離技術などの最前線の研究に関して、簡単な講義や実習を受けました。
この講義を通して、神戸大学で実施されているバイオリファイナリー研究に非常に興味を持ってもらえました。
バイオリファイナリー研究の最前線を知る
神戸大学がバイオリファイナリー分野の技術に関して共同研究を実施している、尼崎市の関西化学機械(株)を訪問して、研究所で実施されているバイオマスの有効利用に関する実際の現場を見学しました。
実際に、稲わらやサトウキビ搾り滓の主成分であるリグノセルロースバイオマスを出発物質として、大規模の発酵槽を用いて、バイオマスの前処理、酵素糖化、そして酵母によるバイオエタノール発酵を実施している現場を見学し、実用化に向けた様々な問題点を理解することができました。
また、パーム産業から廃棄される油分を原料としたバイオディーゼル生産技術に関しても、最新のトレンドを勉強することができました。
古典的な日本酒製造技術に新しい発見がある
酵母菌を用いてバイオエタノールを生産する技術には、古くから伝承されている日本酒の製造技術が利活用されています。
今回は京都伏見にある月桂冠を訪問して、お米を原料として、どのような工程で日本酒が製造されているのか、また、なぜ日本酒では20%にも達する高濃度のエタノールが発酵にて達することができるのかを見学しました。
参加した皆さんは、日本酒とワインの違いについて、その製造原理や原料に関して、活発な意見交換をすることができました。
月桂冠見学の帰りに、京都伏見稲荷神社も見学しました。
神戸大学での研究室見学と研究発表
最後に、神戸大学大学院工学研究科 応用化学専攻バイオ工学研究グループの実験室見学と、所属している修士課程の学生さんとの研究発表会を実施しました。
そして、お互いの研究発表に関して質疑応答を行って、各発表に関して理解を深めるとこができました。
訪日した皆さん、神戸、大阪、京都での見学を通して、関西地域のことを深く知ってもらえることができました。
今後、チャンスがあれば、神戸大学を含む日本の大学で学位(博士号や修士号)取得を目指したいと、希望しておりました。
今後の交流を積極的に進めたいと思います。