2016年度 活動レポート 第134号:公益社団法人日本マレーシア協会

2016年度活動レポート(一般公募コース)第134号

森林の保全と森林科学~持続的社会構築のための国際交流

公益社団法人日本マレーシア協会からの報告

日本マレーシア協会は、1990年代からマレーシア・サラワク州サマラハン管区アペン地区において、州森林局、郡役所、国立マレーシア・サラワク大学(UNIMAS)の協力を得ながら、地域に居住する先住民とともに、在来種であるフタバガキ科の植林による熱帯雨林再生活動を続け、これまで約900haに約40万本の植林を実施してきました。

当地区は、熱帯雨林の伐採跡地に自生した二次林を、州政府が保護林指定をした地域ですが、近年のヤシ油価格の高騰による農地開発のための、違法な二次林伐採や周辺地域での開発が続いています。

そのため、持続可能な地域社会づくりを目指す長期的な視点に立った賢明な森林の利用と、地域住民が環境保全への理解と知識を持ち、行動の改善を図るための環境教育および啓発活動が求められています。

そのような視点で、2010年からUNIMASなどと国連が推奨する「持続可能な開発のための教育(ESD)」にある国際理解と、持続可能な発展に関わる諸問題を理解して、自然共生型社会づくりに必要な能力を有する人材を育成する活動に取り組んできました。

今年度は「森林科学」をテーマに、UNIMAS資源科学技術学部学部生7名、および大学院生3名を招へいし、10月22日から11月1日の日程で、交流プログラムを実施しました。

プログラムの内容は下記のとおりです。
①林野庁にて、日本の森林管理と保全の歴史学習
②環境省にて、地球温暖化問題の現状と対策および国際的取り組みの学習
③国立研究開発法人国際農林水産業研究センターにて、熱帯林の研究の現状学習
④名古屋大学にて、開発途上国の森林保全と地球温暖化問題、および留学環境についての学習
⑤王子製紙株式会社春日井工場にて、事業内容と社有林の森林管理、および廃材などを原料にした製紙工場での研修プログラムの実施
⑥宇都宮大学にて、演習林で森林管理の実習体験、森林科学教育と研究環境および留学環境のレクチャーを通しての学生との交流
⑦UNIMASの連携協定締結校である芝浦工業大学にて、研究や留学環境のレクチャー受講
⑧日本の科学技術の全体像を理解することを目的とした、日本科学技術未来館見学

まとめに大学生やマレーシアからの留学生、大学関係者、協会関係者の参加を得て研修会と終了式も開催しました。

研修終了後のアンケートの概要は以下のとおりでした。
・日本の進んだ文化と科学技術に大きな驚きを覚えた。この日本の経験を今後のマレーシアの発展に生かすべきと思った。
・今回受けた研修は、これからの自分の人生に大きな影響を与えると思う。
・まずは、今後の大学院での研究テーマ設定に大きく影響すると思う。
・大学院に進学する時は、日本の大学に進学することも検討したい。
・さくらサイエンス事業には、大きな意義を感じるのでいつまでも続いてほしい。