2016年度活動レポート(一般公募コース)第126号
未来に科学技術分野での国際連携が生まれることを願って
東京理科大学からの報告
12月6日~12月12日までの7日間、さくらサイエンスプログラムの支援により、タイ王国チェンマイラジャパット大学から教員1名、大学生8名を招へいして日本の最先端の科学技術を体験していただきました。
このプランの目的は次の3点を実施することにより、未来に科学技術分野での国際連携が生まれることを願って、その萌芽を育てることです。
(1)タイからの学生に最先端の科学技術研究を見聞してもらう
(2)日タイ両国の学生間の人間交流をはかる
(3)科学技術の恩恵が一般に普及している日本の先進的文明の一端を体感してもらう。
本学基礎工学部は、その専門部が東京葛飾区の葛飾キャンパスに、その教養部が北海道長万部町の長万部キャンパスにあり、2キャンパス制となっています。特に、長万部キャンパスには学寮が併設されていて、全寮制の教養教育を行っています。
このプログラムの前半では、葛飾キャンパスにて、専門部の最先端科学技術の研究を視察してもらい、その後半には、長万部キャンパスに移動して、学寮生活体験をするとともに、葛飾キャンパスで見聞した研究の基礎となる実験を実習し、さらにそれに続く理論の講義を受けてもらいました。
また、日本、タイの両国が世界有数の水産国であることを踏まえて、町内水産施設を訪問し、キャンパス内での水産関係研究も視察してもらいました。これらの視察、見聞に併せて、両キャンパスにて、未来の研究者交流につながるよう、いろいろな形で学生交流をしました。
さらに、東京での東京スカイツリー見学、東京から北海道への移動での新幹線乗車では、科学技術の恩恵が一般に普及している日本の先進的文明の一端を体感してもらいました。これにより、前述の目的を達成することができました。
このような交流のきっかけを作って頂いたさくらサイエンスプログラムに深く感謝いたします。
実施プログラムの詳細な内容は次のとおりです。
葛飾キャンパスおよびその周辺編
12月6日、タイ王国Chiang Mai Rajabhat Universityの学生8名、教員1名が羽田空港に到着し、今回の「さくらサイエンスプログラム」が始まりました。まず、「科学技術館」を見学し、日本の各種の最先端技術を見聞しました。とくに、模型を使った耐震設計の説明には高い関心を示していました。続いて、「スカイツリー」を見学しました。その建築技術や高速エレベーターの技術に感心していました。
7日、葛飾キャンパスにおいて、材料工学科菊池研究室、電子応用工学科安藤研究室、生物工学科瀬木研究室を訪問し、最先端の研究を見聞しました。菊池研究室では、「生体分子の計算機シミュレーション」に関して温度感応性素材などについての説明を受け、実際にその材料を用いた簡単な実験を体験しました。
次に、安藤研究室では、「遺伝子の高感度分析」に関してパソコンを使ったタンパク質の構造解析の説明を聞き、シミュレーションプログラムを実際に動かす体験をしました。そして、瀬木研究室では「うつ病発症のプロセス解明」に関してストレスに起因するうつ症状への対策の説明を聞き、研究実験の一部を体験学習しました。
研究室訪問終了後、当キャンパスの施設見学をし、そのあと懇談会が開催され、タイの学生と当キャンパスの学生の間で活発な交流がなされました。
当キャンパスの教員から、「今回の研究室訪問で、大学院生が自分の研究について英語で紹介する機会を得てとても有意義な機会であった」との感想が寄せられ、タイの学生、本学の学生の双方に教育的効果があったことが認められました。
8日、上野駅から東北・北海道新幹線に乗り、北海道へ移動しました。揺れのない高速鉄道、世界有数の海底トンネルを体感し、それを実現した日本の科学技術が印象に残ったようです。
長万部キャンパス編
8日夕方、長万部駅に到着し、タイの学生と教員は長万部キャンパスに到着しました。長万部キャンパスの全学生に対し、タイの学生8名が紹介され、当キャンパスの男女各1名が歓迎の辞を述べました。その後、当キャンパスの学生と教員と夕食を共にし、長万部キャンパスの施設を見学して、そこで学生交流がなされました。
9日には、午前中、長万部漁業協同組合を訪問し、そこで、組合員よりホタテの養殖に関しての説明と映像メディアを用いての講義を聴講しました。さらに、実際の水産物荷揚所に移動し、そこで、水揚げされたホタテ、タコ、ホッキ貝などを間近で見ました。
そのあとキャンパスに戻り、午後は、当キャンパスの生物学教員2名および補佐の学生8名の指導による基礎実験実習(生物実験)、それを受けての生物学特別講義・演習を受けました。実験内容は、大黄を用いた実験、および血液の顕微鏡観察等でした。その後、夕食も兼ねた懇親会が開催され、タイの学生8名と当キャンパスの学生32名とで教員も含む形で学生交流が行われました。
10日には、午前中は、当キャンパスの生物学教員1名および補佐の学生8名の指導による基礎実験実習(生化学実験)、それを受けての生化学特別講義・演習を受けました。実験内容は、最先端のバイオマテリアル系の実験で、実験後は活発な質疑も見られました。
午後には、当キャンパス学生が手掛けているカニの養殖に関わる研究を見聞し、そこで、実際に飼育実験中のクリガニを手にとり、カニの形態を観察しました。
ここまでのプログラムにより、タイの学生に生命科学の基礎を理解してもらうことができました。
その後、音楽系部活交流としてハートフルコンサートに参加、さらに、スポーツ系部活交流として卓球を楽しみました。
11日には、アンケート入力、部活による日本体験の後、修了式にて修了証書が授与されました。その後、昼食を兼ねた送別の交流会を終え、一行はキャンパスをあとにし、帰国の途に就きました。両国の学生間の人間交流も盛んに行われました。