2016年度活動レポート(一般公募コース)第125号
基礎と応用の化学が繋ぐ日台学生交流
埼玉大学理工学研究科からの報告
埼玉大学理工学研究科では、2016年7月18日から7月27日まで、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、国立交通大学(台湾)・応用化学科の学生4名を迎えて化学に関する科学技術研修を行いました。
埼玉大学と国立交通大学とは、近年共同研究を介した活発な交流があり、昨年度には両大学のダブルマスターディグリープログラムの1期生が卒業しています。さくらサイエンスプログラムでは、更なる交流促進を目指し、様々な学年の学生を招へいしました(学部2年生1名、学部4年生1名、修士課程学生1名、博士課程学生1名)。
まずプログラムに先だって、実施主担当者である吉川洋史准教授が国立交通大学に赴き、7月15日にプログラムのオリエンテーションを実施しました。
その後18日に学生が来日し、メインのプログラムとして、今回のホストである理学部基礎化学科の吉川研究室、または工学部機能材料学科の白井研究室に滞在し、実験体験を行いました。吉川研究室では、光を使った結晶化制御とそのメカニズム解明に関して、白井研究室では、有機太陽電池の作製技術に関する研究に取り組みました。
また、実験体験以外にも、様々な科学技術研修を滞在期間中に実施しました。19日には、基礎化学科と機能材料学科の研究室、および科学分析支援センターの見学ツアーを実施し、化学合成、計算化学、物理計測、デバイス開発など、埼玉大学で行っている基礎と応用の化学研究や、実験装置の説明を受けました。
21日には、同じ埼玉県にある理化学研究所・基幹研究所の前田バイオ工学研究室を訪問しました。前田瑞夫先生や研究員の方から、理化学研究所の概要および、前田研で行っている機能性ナノ粒子を用いたバイオテクノロジー技術に関する説明を受けました。
25日には、理学部基礎化学科の2年生を対象とした講義(英語化学文献講読Ⅱ)に参加しました。本講義は、ブルガリア出身のAlexandre Loukanov先生が英語で実施しており、学部生に混じって材料化学に関する活発な議論をしました。
以上の科学技術研修を総括するために、活動報告会を26日に開催しました。招へいした学生4名それぞれから、日本の科学技術や文化について、またそれらの台湾との違いなどに関する感想などが述べられました。また、国際室の長沢誠准教授から、埼玉大学の国際化の取り組みについての講演がありました。会の最後には、吉川洋史准教授がさくらサイエンスプログラムの修了証を授与しました。
以上のプログラムを通して、学生および教員間の新たな交流の種を蒔くことができました。今秋には、本プログラムに参加した国立交通大学出身の学生1名が、埼玉大学と国立交通大学のダブルドクタープログラム1期生になりました。
また、本プログラムが契機となり、埼玉大学の学部生および修士学生が、国立交通大学に短期留学しました。今後もこれらの活動を通してより一層両大学間の交流を深めていきたいと考えています。