2016年度 活動レポート 第119号:北九州市立大学

2016年度活動レポート(一般公募コース)第119号

低炭素建築材料づくりの科学学習プログラム

北九州市立大学 高巣幸二さんからの報告

震災により発生した大量のがれきや、原子力発電の停止による火力発電の需要の高まりから生じる、膨大なフライアッシュ(石炭を燃焼させた時に発生する石炭灰のうち、電気集じん器により捕集された微粉末の灰のこと)の処理が、今後重要課題となっていきます。

当研究室ではこれらの材料を使用するための技術開発を行っています。その成果を、同様な問題を抱えているアジアの将来有望な学生に伝え、わが国の新しい環境理念・科学を世界に広げていきたいとの思いから、さくらサイエンスプログラムにより9月25日~10月4日の日程で、マレーシアのタンク・アブドゥル・ラマン大学から5名、中国の大連理工大学から2名、吉林建築大学から3名、計10名の学生を招へいし、活動を行いました。

来日後、ガイダンス、参加者自己紹介の後、早速実験室の見学を行い、プログラムを開始しました。

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実験室の見学
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実験室の見学

当研究室では2009年度から科学技術振興機構(JST)のA-STEP・本格研究開発・起業挑戦タイプ「改質フライアッシュコンクリートの製造方法」(2012年度プロジェクトリーダー:高巣幸二)に取り組んでいます。

ここでは低品質なフライアッシュの未燃カーボン除去による改質方法を確立し、これらの廃棄物、および未利用資源をコンクリートの構成材料と位置づけ、コンクリートの高品質化を図る研究を実施しています。現在低炭素コンクリートに関する実験装置や多くの成果資料を有し、また、その技術特許を利用した実装プラントは沖縄に設置しています。

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低炭素コンクリート工場の授業やワークショップ

27日から29日には、その沖縄のプラントを見学に行きました。沖縄で事業化された低炭素コンクリート工場の授業やワークショップを通して、コンクリートの原料にリサイクル材料フライアッシュを大量使用することによりCO2排出量を大幅に減少させる原理や、フライアッシュの品質改善手法をアジアの若手研究者に理解してもらいました

沖縄プラントの視察
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プラント見学の集合写真

プラント見学後、環境負荷低減及び再生建材有効利用の科学技術の講義を行い、ライフサイクルアセスメントの理論、低炭素コンクリートを実現するためのフライアッシュの品質改善手法、再生建材リサイクルのプロセス、再生建材低炭素コンクリートの分析手法について学習しました。

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授業の風景

我が国では、1億m3を超えるレディーミクストコンクリートの生産に伴って、膨大なCO2が排出されています。そこで、コンクリートの原料にリサイクル材料フライアッシュを大量使用することによりCO2排出量を大幅に減少させることができます。

さくらサイエンスプログラムを通して、アジアの若手研究者に我が国の最先端の科学技術を理解してもらうことができました。今後このような取り組みを継続し、アジアの新しいリサイクル産業及び環境産業の振興に貢献していきたいと考えています。

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修了式の写真