2016年度活動レポート(一般公募コース)第116号
DNAの化学合成およびDNAオリガミを学ぶ
関西大学からの報告
関西大学では、さくらサイエンスプログラムに採択され、2016年11月27日から12月10日までの14日間、マレーシアのマレーシア科学大学から大学院生5名、研究者3名の計8名を招へいしました。そして、日本の科学技術を体験するとともに、関西大学化学生命工学部の葛谷明紀准教授、および研究室の学生との共同研究を遂行するプログラムを実施しました。
本プログラムは、DNAの化学合成や、合成したDNAを使ったナノメートルスケールの構造体 (DNAオリガミ構造体) 作製を中心とした関西大学が有する科学技術を紹介・体験してもらうことにより、招へい者らとの共同研究を、さらに効果的に実施することを目的としています。加えて、日本とマレーシアの学術研究教育連携を発展させることも目指しました。
初日は、化学生命工学部の葛谷明紀准教授を中心に、ウェルカムパーティーを行いました。そのパーティーでは、化学生命工学部の他の教員や研究室の学生などが参加し、国際交流を深めることができました。
2日目は、オリエンテーションと千里山キャンパス内の研究施設の紹介を行い、DNAの化学合成法についての基礎知識の共有を行いました。
3~7日目には、実際にDNAの化学合成を行い、その精製および分析を行いました。まずは、関西大学が所有するDNA自動合成機を用いて、DNAの化学合成を実際に体験してもらいました。
次に研究室で日常的に使用されている、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、合成したDNAの精製を行いました。最後に合成および精製の可否を、質量分析により判断しました。
招へい者らは、普段は生物学の勉強をしているため、なじみの技術に関連する化学的な背景に触れる機会が少なく、今回の共同研究はいい刺激になったようです。
9〜12日目までは、最初に葛谷明紀准教授からDNAオリガミ構造体の設計、およびその応用についての講義を受け、その後は実際にDNAオリガミ構造体の作製と解析を行いました。
まずアガロースゲル電気泳動により、DNAオリガミ構造体の形成の確認および精製を行いました。次に、透過型電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて作成した構造体の観察を行いました。実際に、AFMにより作製したDNAオリガミ構造体を明瞭に観察することができました。
その後はTEM、AFMの操作に慣れてもらうために、繰り返し練習を行いました。最後に、今回行ったプログラムの総まとめを行い、修了式において修了証が授与されました。
さくらサイエンスプログラムをきっかけとして、マレーシア科学大学との共同研究が今後さらに発展することを期待しつつ、無事にすべてのプログラムを終了しました。
最後になりましたが、このような機会を与えていただきました、さくらサイエンスプログラム関係者の皆様に心から御礼を申しあげます。