2016年度活動レポート(一般公募コース)第105号
日本・インドネシア ジェロンテクノロジーのオープンイノベーション
公益財団法人福岡アジア都市研究所からの報告
当研究所は昨年に続きまして、今年も同様のテーマで、インドネシアから、インドネシア大学、レスパティ・インドネシア大学、レスパティ・ジョグジャカルタ大学、パジャジャラン大学、パンカシラ大学、ガジャマダ大学及びジャカルタ州立SMA Pangudi Luhur高校から大学院生、学部学生、そして高校生計12名を、2016年11月13日~11月20日の日程で福岡市に招へいし、大学や福祉施設などを訪問し、座学と施設見学を通じて日本の最先端の高齢者対応システムや技術(社会システム、ロボット技術など)に関するスタディツアーを実施しました。
座学に関しては、主として当研究所の研究員が「世界と日本とインドネシアの人口高齢化」をテーマに、インドネシア側の問題関心に沿って高齢者問題について講義を行いました(14日午後)。また、大学や各施設を訪問する際も大学の研究者や施設の担当者から全体状況を把握できるようにレクチャをいただきました。
中村学園大学(15日午後)では、日本の食育の取り組みについて紹介を受けてから、栄養学研究科の学生と1対1のペアを組んで、「一汁三菜」を試食し、栄養学研究科の研究室も見学しました。
九州大学では、芸術工学研究院を訪問し(16日午後)、インクルーシブデザインを学ぶワークショップに参加しました。また、工学研究院機械工学部門を訪問し(17日午前)、システム工学分野で介護用ロボットの研究開発について紹介を受け、研究室を見学しました。
その関連で、糸島市・九州大学・住友理工(株)の3者連携による「九大ヘルスケアシステムLABO糸島(愛称ふれあいラボ)」も訪問し、介護用ロボットスーツを実際に装着したりして、体験学習を行いました。
施設訪問については、福岡市健康づくりサポートセンター(15日午前)、福岡市民福祉プラザ及び介護実習普及センター・視覚障がい者等を配慮した図書室(18日午前)、特別養護老人福祉ホーム照葉(16日午前)、福岡市民防災センター(18日午後)などを訪問し、各施設では担当責任者による紹介を受けながら、多方面にわたって日本での高齢者の健康維持と介護現状について見学しました。
最終日(19日)は、ユニバザールデザインの工夫が随所に見られるJR博多駅舎ビルと大宰府天満宮及び九州博物館を見学し、日本文化の優れた一面に触れることもできました。
本プログラムがきっかけとなって、昨年参加したインドネシアの3つの大学と当研究所、および地元中村学園大学との間に交流協定が締結されました。その後、インドネシアの大学関係者と日本福岡の交流が活発化しています。修了式では、インドネシア側の引率責任者から感謝の言葉が述べられ、交流プログラムの継続に強い期待が寄せられました。受け入れた中村学園大学では、インドネシア大学とのさらに上位の学術交流にむけてMOUを締結できればという意向も示されました。