2016年度活動レポート(一般公募コース)第103号
日本の農業生産技術を学んだカンボジアの学生・研究者
九州大学大学院農学研究院からの報告
2016年10月30日(日)~11月5日(土)の5泊6日の日程で、カンボジア農林水産省農業工学局、およびカンボジア工科大学から学生・研究者9名を招へいし、交流プログラムを実施しました。
今回の研修では、持続的な農業生産を目指した最新の農業工学技術に関する研究成果などを紹介し、実際利用されている現場を訪れました。
まず座学では、九州大学や立命館大学の教員から、関連する各種分野の最先端の研究成果を講義しました。これらは灌漑&排水、バイオマス利用などの圃場の利用技術、作物モニタリング、農業情報によるコメの収量予測、圃場におけるスマート農業の実践のためのモニタリングとセンシング、CFDなどのポストハーベストの予測、制御技術およびこれら技術の普及のための社会政策的な内容まで多岐にわたりました。各講師から概ね1講義90分の座学の講義を受けましたが、講義では、ワークショップ形態も多く、実際に研修生に様々な技術を伝授できました。
その後、実際炭化物などで実践している現場を訪れ、わが国農村の置かれている現状やそこで実際に活動している事業者等との交流を深めました。特に福岡では、放置された竹林の問題を克服するために、簡易な炭化技術を導入し、地域の活性化を図っている団体や、障害者を取り込んで炭化の活動を実施している団体等を視察し、関係者と交流をしました。また、炭素貯留型農業を実践している試験農地を訪れ、サツマイモの収穫も体験させました。
一方、日本文化の特徴である京都府にも出向き、わが国において炭素貯留型農業を先駆けて実践している亀岡市保津地区を訪れ、この団体の活動などを聞き取り、実施や販売の現場を訪れました。またわが国在来の炭化技術など実用されている技術に関して現場を視察しました。これら一部はカンボジアにも十分に技術移転可能と考えています。道中には関係する研究者や技術者と様々な情報交換ができました。
研修期間中は九州大学の留学生や日本人学生とも様々な形で交流し、発表会などを通じ、有意義な交流ができました。特に関係する各機関から若手の研究者、学生、教員に発表の機会を与え、既往の研究成果を発表させ、研究の交流を図りました。更に空港でのピックアップ、現地視察の同行など、様々な形でも交流ができ、また、スケジュール外でも、研修生は日本人学生や九州大学在学中のカンボジア留学生などと積極的な交流があったようです。最後には日本文化を垣間見てもらうために、京都の名所を数か所を訪ねて、リラックスすることもできました。