2016年度活動レポート(一般公募コース)第102号
排水処理と排水からのエネルギー回収に関する技術を学ぶ
山梨大学からの報告
さくらサイエンスプログラムによる支援を受け、マレーシア・パハン大学工学部学生10名と引率教員2名を招へいし、10月22日(日)から10月30日(土)の日程で科学技術体験プログラムを実施しました。
このプログラムでは、「排水処理と排水からのエネルギー回収」をテーマとして、山梨大学工学部において排水処理に関する分析技術を研修し、小型の排水処理装置とエネルギー回収装置を組み立てて実験を行いました。さらに、富士北麓の美しい景観や、日本文化に触れてもらうイベントも実施しました。
前半では、排水処理した水の水質を評価するための有機物(TOC)、各形態の窒素成分、フェノール性内分泌かく乱化学物質(ビスフェノールA)の分析を研修しました。さらに、排水処理装置の中で排水の汚れを除去する微生物の数と種類を調べるための、微生物培養法と遺伝子分析を研修しました。
後半では、通常の下水とビスフェノールA含有排水を模擬した2種類の合成排水をそれぞれ処理する、小型の排水処理装置を組み立てた後、習得した水質分析と遺伝子分析を使って、処理性能と、処理装置で活発に働いている微生物を調べました。さらに、除去しきれずに残った処理水中の窒素を利用して小型水生植物(ウキクサ)を栽培し、回収したウキクサバイオマスを糖化、エタノール発酵して、エタノールを生産する一連のプロセスも体験しました。
また、ウェルカムBBQパーティー、武田信玄公遺跡めぐり、富士北麓地域散策、東京での新旧文化体験、フェアウェルパーティーのイベントも行いました。
期間中は、マレーシア・パハン大学と本学大学院の学生が同じ班で協力しながら、熱心に、また楽しそうに研修やイベントに取り組んでいました。本学の学生にとっては、英語でコミュニケーションする力やディスカッションする力が鍛えられたと感じました。
後半になると、その大学院生が技術研修指導や国際交流の主役として活躍してくれ、学生が主体となった国際交流になりました。そして、パハン大学の学生から「次は、マレーシアのパハン大学に来てください。待っています。」「水処理分野にとても興味を持ちました。大学での研究テーマはこれにします。」「日本がとても好きになりました。日本に留学しに来たいです。」などの多くの言葉をいただけたのは、とても嬉しいことでした。
9日間のプログラムを通して、国際交流のための教材や研修プログラムをつくることができました。また、両大学の継続的な研究、教育交流について話し合い、その計画を決めることができたのも大きな成果でした。
多忙な中で多くの事務職員や教員が労力を費やしてくださり、研究、教育と国際交流が結び付いたさくらサイエンスプログラムが実施でき、本学にとっても良い経験ができたと思っています。このように、本プログラムを成功裏に終えることができました。