2016年度活動レポート(一般公募コース)第99号
ものづくりの現場 静岡から「メイク・イン・インディア」へ
静岡大学からの報告
静岡大学ではアジアブリッジプログラム(ABP)の一環として、「メイク・イン・インディア」のテーマのもと、県内企業が進出しているインドから未来を担う若者たちを招き、日本の製造業の技術力と産業力を紹介することを目的として、さくらサイエンスプログラムのプログラムを実施しました。実施期間は10月11日から19日の9日間で、北インド、南インド、西インドの4つの学校から計10名の高校生を招へいしました。
静岡「ものづくり」の探求の旅は、静岡大学浜松キャンパス内にある高柳記念未来技術創造館で、世界初の電子テレビを発明した高柳健次郎について学ぶことから始まりました。ブラウン管やテレビの構造とともに、高柳氏の偉業と発明が世界中に与えた影響について知ることで、ものづくりの大きな可能性を認識しました。
その後、スズキ(株)で会社の歴史と、機械化された最先端の自動車製造技術の現場を体験しました。人事担当者からスズキとインドとの緊密な関係についての話を伺い、また招へい者たちの将来に期待する激励のメッセージをいただき、夢が膨らみました。
続いてヤマハ発動機では、インドも含め世界展開している事業についてのプレゼンテーションの後、工場で二輪車の製造工程の見学をしました。目の前で次々と組み立てられていくスタイリッシュなバイクに、日本の技術への憧れが更に強まったようです。
ヤマハ(株)のピアノ工場では、静岡の技術が芸術の分野でも大きな役割を担っていることを知りました。ピアノの製造過程は、最新の機械設備と繊細な人間の感覚との融合で成立している事実にも、新鮮な気付きがありました。
スーパーサイエンスハイスクール浜松工業高校との交流プログラムでは、セラミック素材の多様な応用例について考察した後、実際にセラミックを使ってマグカップを作りました。自分たちの手で新たなものを創造する難しさと喜びを通じて、「ものづくり」の原点を体験しました。
静岡大学では、電子物質工学、機械工学、情報科学の研究室を訪問し、アカデミックな第一線の研究について講義を受け、その研究がどのように日本のものづくり技術発展に貢献しているのかを学びました。
電子物質工学のモラル研究室では、高柳健次郎氏の電子テレビの発明が今日の最先端技術につながっていることを実感しました。情報科学の木谷研究室では、バイクに取り付けた超小型センサーで情報を収集してビッグデータ化する、Bikeinformaticsの応用の可能性について考察しました。
最終日の特別講義では、SHARP India limitedの磯貝前社長をお招きし、日本の製造業を成功へと導いた理念や姿勢について講演いただきました。
さらに、週末の2泊3日のホームステイでは、ホストファミリーの方々に家族の一員として暖かく迎え入れていただき、ものづくりの街で暮らす人々の生活や文化の一端に直にふれることができました。