2016年度 活動レポート 第96号:山口大学

2016年度活動レポート(一般公募コース)第96号

ゼオライト膜材料の先端の作製技術を学ぶ

山口大学からの報告

中国江西師範大学から、教員1名と大学院生9名の合計10名を、さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、2016年11月14日から10日間の日程で、山口大学で受け入れました。

9名の大学院生の内、3名が博士後期課程の学生で、男女比は、男子学生2名、女子学生と女性教員合わせて8名でした。また、招へい者らが、江西師範大学で所属している研究室の室長のChen Xiangshu教授も、自費により来学されました。

招へい者らは、触媒やゼオライト膜の開発および、それらの環境、エネルギー分野への応用研究を行っています。受入機関の山口大学大学院創成科学研究科グリーンケミカル学研究室では、ゼオライト膜をはじめとした、様々な無機膜や有機膜、無機・有機複合膜の研究や、触媒膜研究が行われており、招へい者らの研究分野との接点も多くあります。本招へいでは、両校間での学生交流の促進も目指して、学生の主催による歓迎会や、学生による研究紹介も行いました。

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研究室見学

プログラムの初日は、大学や大学院等の説明を行った後、山口大学グリーンケミカル学研究室の学生による、簡単な日本食の作り方の紹介、共同での調理と歓迎会を行いました。ちらし寿司の作り方には興味が集まりましたが、冷えたごはんは苦手とのことで、箸が進みませんでした。一方で、おでんは中国にも関東煮という似たものがあるとのことで、好評でした。双方の学生にとって異なる食文化を体験する良い機会となりました。

写真2
歓迎会でおでんを囲んで

2日目以降は、研究内容や設備の紹介、議論等を行いました。実験設備の説明には、大きな興味が示されました。研究紹介では、活発な質疑応答も行われました。また、江西師範大学博士前期課程の、2名から、山口大学で博士後期課程を修めたいとの希望があり、指導教員となれる可能性がある教員らとの話し合いの場も設けられました。加えて、博士前期・後期課程入学試験についての説明や、学費・生活費などの経済面、生活面の説明も行いました。

写真3
研究発表会の様子

膜に関する技術の実用化に近い研究開発を行っている、企業や研究機関の見学も行いました。例えば、ゼオライト膜の支持体として、セラミックス多孔体が用いられますが、高性能な支持体の量産や、それらの低価格化は実用化の大きな課題の一つです。そこで、安価なセラミックス多孔質管の量産化手法を開発研究している、日本特殊セラミックス社を訪問し、セラミックス体の開発コンセプトの説明を受け、設備の見学を行いました。

また、環境エネルギーへの膜や触媒の応用研究の例として、(公財)地球環境産業技術研究機構(RITE)を訪問し、二酸化炭素分離隔離技術や、次世代技術として期待されている水素分離膜反応器等の研究開発の説明を受け、関連設備を見学しました。

RITE研究所訪問では、奈良に滞在しました。この機会を利用して、春日大社や東大寺などを訪問し、日本文化や日中の友好の歴史などにも触れました。丁度紅葉の季節で、きれいに色づいた景観に、訪問者たちからは感嘆の声が挙がりました。また、ガイドの説明を熱心に聴いていました。

本招へいは、さくらサイエンスプログラムのご支援に加え、多くの方々のお力添えなしには行えませんでした。招へい者らは日本に良い印象を抱いて帰国しましたが、これも、多くの方々のご支援があったおかげです。末尾ながら、ここに厚くお礼申し上げます。