2016年度活動レポート(一般公募コース)第84号
次世代産業イノベーション~「健康・医療」の産学官の挑戦~
静岡県からの報告
静岡県では、モンゴル教育・文化・科学・スポーツ省の協力を得て、モンゴル全土から選抜された高校生8名、引率1名を招へいしました。同省とは、平成27年8月に交流に関する覚書を調印し、教育・文化・科学分野における人的交流を推進しています。
今回の招へい目的は、本県の特徴の1つである健康長寿をはじめ、健康、医療分野に係る最新の研究や技術、取組みを学んでいただくことでした。
本県は、地域の資源と特徴ある産業基盤を活かし、県東部「ファルマバレー(医療・健康関連産業)」、中部「フーズサイエンスヒルズ(食品関連産業)」、西部「フォトンバレー(光・電子技術関連産業)」の3つの産業集積プロジェクトを推進しています。これらのプロジェクトは、各地域の知の拠点である大学や研究機関、企業、そして行政が連携して研究に取り組んでおり、こうした本県の優れた研究を多く学べるようなプログラムにしました。
2日目は、国立遺伝学研究所を訪れ、疾患ゲノム研究について学びました。スーパーコンピューターを見て、生徒はその規模に驚いていました。お昼には、順天堂大学保健看護学部を訪れ、静岡の特産物を生かしたお昼ご飯を食べながら、保健看護学部の学生と交流をしました。そして、全国初の地球環境史の博物館「ふじのくに地球環境史ミュージアム」を訪れ、持続可能な社会を実現するためにはどうしたらよいか考えました。
3日目は、静岡大学農学部、東海大学海洋学部を訪れました。静岡大学では、おいしい野菜を安定生産するための研究施設を訪問し、野菜を見たり、触ったりしながら効果的な栽培方法などについて学びました。東海大学では、食品の安全についての講義を受けた後、魚肉加工の実験を体験しました。
4日目の静岡県立大学では、静岡が誇るお茶についての講義を受け、お茶の成分が身体にもたらす影響を学びました。
5日目は、静岡大学工学部、浜松医科大学を訪問しました。静岡大学では4つの研究室を訪問し、電子顕微鏡技術を用いたナノレベルでの加工技術等の最新の研究を学びました。
浜松医科大学では、同大学と浜松地域の企業の産学連携により開発した、内視鏡手術用ナビゲーションシステムを始めとする最新の医療機器を、実際に手に取り体験しました。全員、興味深げでしたが、特に将来医師になることを希望している2名の高校生は、目を輝かせながら積極的に説明に聞き入っていました。
週末にかけては方広寺で宿坊体験をし、精進料理、座禅等の日本文化を経験しました。また、世界お茶まつりにも参加し、静岡の高校生から呈茶をしてもらいました。
今回のプログラムを通して、「将来日本へ留学したい」、「将来学びたい分野が決まった」などの感想を多く聞くことができました。モンゴル高校生の科学技術分野への興味関心が深められ、さらに、日本への留学意識を高められたと思います。今後も、モンゴルとのさらなる交流を促進します。