2016年度活動レポート(一般公募コース)第81号
台湾・淡江大学との共同研究ワークショップ
東京都市大学からの報告
10月17日から10月23日の日程で、台湾淡江大学建築学部学部生7名+大学院生3名、引率教員としてChen-Chen教授を招へいし、共同研究ワークショップMaMiUU-2(Machina and Mind-2)を実施しました。都市大学からは都市生活学部の学部生4名+大学院生2名が参加し、渡辺誠教授が進行を主導しました。
まず、日本建築学会アルゴリズミック・デザイン小委員会の千葉貴史さんを招いて、アルゴリズミック・デザインについての基礎レクチャーを行ったあと、ワークショップを行いました。
テーマは、合理的で革新的かつ美しい架構を創案し、その架構による高さ1500mの複合建築を提案することです。台湾側、日本側ともに、事前ワークとしてのスタディを行なっていました。
ワークショップは、手技(Mind)とコンピュータプログラム(Machina)のコラボレーションで進められました。
模型に強固な素材を用いてしまうと、どのような形や構造でも成立してしまうため、構造合理性は得られません。弱い素材を用い、いかにしたら壊れずに自重を支え振動に耐えられるか、という創案が必要になります。
そこで、素材のひとつとして、人工素材のプラスチックストロー、そしてもうひとつは自然素材の細い竹ひご、からの二者択一としました。学生は自ら選んだ素材の特性を調べ、その特性を活かした構造架構を考えていきます。他の副素材もスタディに用います。その際に、可能な学生はビジュアルコンピュータプログラムであるGrasshopperを使いました。
学生は2名のユニットを組みますが、淡江大+都市大の学生ユニットでは、多くの場合どちらも英語があまり得意ではありません。中国語と日本語でコミュニケーションをとろうとしているうちに、両言語を混ぜ合わせたようなハイブリッド言語を使うようになったユニットが出現するという、興味深い現象も見られました。これは、異文化コミュニケーションのひとつの可能性を示しているのかもしれません。
成果品は高さ1.5m(1/1000)の模型に加えて、コンセプトを示すCGと、建築としての提案を示す機能図、断面図です。敷地景観へのコラージュも含みます。各ユニットはこれらをプレゼンテーションし、教授を含めてレビューを行いました。
ワークショップと併行して都市探索も行いました。
ひとつは横浜編で、日本の高度経済成長を支えた工業地帯を船で海から見学し、現在は新たな都市景観資産として注目されている姿を実地体験しました。
もうひとつは東京編です。臨海副都心で科学未来館を見学し、K-MUSEUM(共同溝展示館)と、都営大江戸線飯田橋駅「ウエブフレーム」(コンピュータプログラムで要求条件を解いて生成された世界初の建築)では、設計者である渡辺教授から説明を受けました。
帰国後の作業として、台湾側はMaMiUU-1を含めた台湾での出版の準備を行い、日本側は壊れやすい制作品の補修維持と撮影、および展示ワークを続けています。
アンケートの結果、多くの学生が日本再訪を希望しており、さらに、日本に留学したい、日本で働きたい、という意思をもつ学生もいることがわかりました。本ワークショップの意図は十分に果たせたのではないかと思われます。