2016年度 活動レポート 第66号:東京理科大学理学部第一部物理学科

2016年度活動レポート(一般公募コース)第66号

理数系教育の具体的方法論とサイエンスコミュニケーションを学ぶ

東京理科大学理学部第一部物理学科川村研究室からの報告

10月3日~10月9日の7日間、中国曲阜師範大学からの招へい者、教員4名、大学院生6名、大学生1名を受け入れて、交流プログラムを実施しました。

1日目

羽田空港で参加者の皆さまをお迎えしました。目新しい物にワクワクするその表情から私達も明日以降のプログラムへの期待を感じました。

2日目

秋山仁の数学体験館を訪れました。ランダムに落とした球が実際にガウス分布を形成したり、液膜が見事に最短経路を作った場面では驚きの声が上がりました。北原先生によるシャボン玉実験では宙に浮かんだままのシャボン玉や、プラスチックコップから独りでにシャボンが膨らむ現象について、参加者からの積極的な議論が行われたのが印象的でした。その後研究室生によるレンズのしくみに関するワークショップ形式の講義とその後の反省会にも参加してもらいました。歓迎会では全参加者が自己紹介を行い、自身のキャリアプランについて話し交流を深めました。

北原先生のドライアイスとシャボン玉を使った実験
「秋山仁の数学体験館」にて

3日目

昼食の後、藤嶋学長による講義「How to enjoy science」を受けました。孔子にちなんだ話に始まり、光触媒についての話になりました。参加者の多くが学長に質問するなど熱心に講義を受けていました。之を知るものは~之を楽しむものに如かずとの言葉に大きく頷く参加者の姿が記憶に残っています。その後教職志望者の学部生による実験をとり入れた理科の模擬授業を参観しました。夕飯後には研究室の輪講にも参加してもらいました。特に東日本大震災に関して中国と日本の防災意識の違い等について互いに得る物の多い議論がなされました。

藤嶋学長の講義「How to enjoy science」

4日目

物理学科2年生のための物理学実験を見学し、基礎的な物理現象を実験する手法やそれを運営する方法などについて、中国との違いなどについてフォーカスした意見交換を行いました。また、講義実験では研究室の学生とともに色素増感太陽電池を手作りし、電子メロディを鳴らせた際にはワッと喜びの声を上げていました。

5日目

まずは蔡先生による講義「Superconducting Quantum Circuit」を受けました。超電導量子ビットを用いた回路の可能性を学び量子コンピューターの実現に向けた研究に数学専攻の参加者も目を輝かせていました。昼食後には小川先生による講演「科学教育の日本的形態」を受けました。『自然』と聞いて思い浮かべる単語は聞く側の原風景によって異なり、現代日本においては客観的な科学教育と主観的な自然教育が入り混じっているとの内容でした。その傾向は中国でも見られていると、大いにディスカッションが盛り上がりました。

蔡先生の研究室にて
小川先生の講義、ディスカッション

小川先生の講義「科学教育の日本的形態」

6日目

パナソニックセンター東京「リスーピア」へ行きました。数学・科学を五感で感じられる数々の展示に、参加者全員が満足した様子でした。特に素数を扱ったゲームや雨粒の降下に関する体験はつい誰かに話したくて仕方がない、といった様子でした。夜の送別会で終了証を授与され、別れを惜しみつつ手を振っていた光景は、双方にとって忘れがたいものとなりました。

パナソニックセンター東京「リスーピア」にて
さくらサイエンス・バッジ、終了証書授与後の懇親会

7日目

朝早くにもかかわらず中国からの友人たちは笑顔を浮かべ、羽田空港から自国へと飛び立っていきました。下次再来、一路平安!