2016年度 活動レポート 第54号:富山大学大学院理工学研究部

2016年度活動レポート(一般公募コース)第54号

軽合金に関する先端技術を富山で学ぶ

富山大学大学院理工学研究部からの報告

平成28年10月11日(火)から10月20日の日程で、富山大学大学院理工学研究部(材料機能工学専攻)では、タイ・チェンマイ大学理学部および山東大学材料学院の修士課程および博士課程の学生5名と教員1名ずつ、計12名を受け入れ、さくらサイエンスプログラムによる交流を実施しました。

この交流プログラムは、環境負荷低減を指向した輸送機関の軽量化およびリサイクルシステムの構築に対応すべく、自動車・家電製品等の生産と保有が著しく見込まれる東アジア地域の次世代を担う大学院学生に対して、本学が地域企業と連携して培ってきた「軽合金の先端研究と先進的製造技術」を学ぶ機会を提供することで、「持続可能な社会の構築」を我が国の若手研究者・技術者とともに共創できる人材育成を行うものです。

交流実施1日目はオリエンテーションと宿泊ホテルへの移動を行いました。宿泊したホテルから富山大学工学部までは、路面電車と徒歩で約30分の道のりです。交流実施2日目の朝は、材料機能工学専攻の大学院生がプログラム参加者を会場まで引率しました。

2日目のプログラムでは、軽金属(アルミニウム合金、マグネシウム合金)の製造・鋳造に関する講義とアルミニウム合金の鋳造実習を行いました。また、昼には学長訪問、夜には国際交流担当理事、国際交流センター長、工学部長、副工学部長、材料機能工学専攻の教職員・大学院生・担当事務局の事務職員とプログラム参加者とで歓迎会を行いました。

学長訪問の様子

3日目の午前中にはアルミニウム合金のナノ組織観察に関する講義を行い、午後に電子顕微鏡や関連施設の見学を行いました。

4日目の午前中はアルミニウム合金の腐食・防食に関する講義を行い、午後には金属合金の固体物性学の講義と低温施設の見学を行いました。特に腐食に関する講義では、休み時間にも活発な質疑が行われました。

腐食・防食に関する講義の様子

5日目には北陸の歴史と文化を学ぶ目的で、富山県南砺市の相倉合掌造り集落と石川県金沢市の兼六園・金沢城を見学しました。

6日目には軽金属合金の溶接に関する講義および組織観察データの解析に関する演習・発表を行いました。

演習の様子

7日目には地域のアルミニウム製造企業の見学として三協立山株式会社を訪問しました。また、午後には高岡地場産業センターで鋳造実習行い、錫の杯を作製しました。そして、その翌日には地域企業であるYKKAP株式会社を訪問しました。

9日目ではプログラム参加学生と本学の材料機能工学専攻学生の混成5チームによる「アルミニウムを利用した工作実習コンテスト」を実施しました。テーマは、“ビルの4階から落下させる生卵を保護する器具をクッキングホイルで作製すること”。前回プログラムのコンテストより、利用できるクッキングホイル量を半減したため、約8割失敗する結果となりました。コンテストの後に、プログラム参加学生と本専攻学生による討論会と修了証授与式、そして送別会を行いました。

討論会の風景
修了証授与式の風景

この交流を通して、両校の大学院生の交流が活発に行われました。チェンマイ大学および山東大学材料学院へのアンケート結果は、全員が今回の日本訪問について” Very satisfied”と回答していました。

鋳造実習の風景
鋳造実習の風景

工作実習の風景
工作実習の風景

五箇山の見学