2016年度活動レポート(一般公募コース)第49号
"Nara SAKURA Science Camp"を実施しました!
奈良女子大学附属中等教育学校からの報告
NARA SAKURA Science Campは、アジア6か国の高校生が共に学ぶ科学技術のワークショップを実施することにより、さまざまな文化的背景を持つ生徒達が協働して、英語で科学の課題を探究し、国際的な場で活躍するために必要な、論理的思考や議論・表現する能力を育成することを目的としたサイエンスキャンプとして、9月2日(金)から7日(水)にわたり開催しました。
今回は、インドネシアの国立第10サマリンダ高校、台湾の国立中山大学附属國光高級中学校、ベトナムのベトナム国家大学ハノイ校自然科学大学附属英才高校、韓国の世宗科学芸術英才高校、ウズベキスタンのタシケント工科大学附属第5アカデミー学校から高校生22名と引率教員6名の参加があり、そのうちベトナム・ウズベキスタン・インドネシアの9名の高校生と2名の引率教員をさくら・サイエンスの支援で招へいしました。
3日間行った、科学技術のワークショップでは、講座A「How to distinguish close related RNAs and DNAs」と講座B「Mathematics applied to biology」の2つのワークショップに分かれて実習を行いました。
講座Aでは、DNA鑑定の手法を体験的に学ぶことをテーマに、DNA、RNA抽出をそれぞれ行い、特異的塩基配列の増幅を行うチームと、増幅断片を制限酵素により切断するチームに分かれて実験を行いました。最終的には、各チームから実験結果を報告し合い、各実験や実験過程がどのような関連性をもつのかについて、ディスカッションを行いました。
もう1つの講座Bでは、生物の個体数の変化を数式化し、得られた数式モデルをコンピュータによりシミュレーションして考察するもので、さまざまな要因をどのように数式に反映させるのか、数式モデルを作る際にはどの要因を反映させるのかについて生徒たちが考察し、その後、ディスカッションを行いました。
今回は、参加生徒や本校生徒の国際交流を目的とした文化的な企画も行っています。初日の午後に行った「世界遺産ツアー」では、班に分かれて奈良市内を散策し東大寺や興福寺などの日本の古建築を巡りながら、親睦を深めました。また、週末を利用した2泊3日のホームステイ企画では、文化体験や観光、家庭料理など、受け入れて頂いた本校の保護者の協力もあり、海外生徒や引率教員から非常に好評な企画になりました。
研究施設訪問として、9月6日に訪問したSpring8では、施設の概要と実験内容の説明を受け、巨大な施設の内部まで見学でき、充実した質疑応答の時間を持って頂きました。
また、9月7日(水)は奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)を訪問し、2つのグループに分かれて、情報科学研究科・物質創成科学研究科・バイオシステム研究科の研究室から講義を受けることができた。バイオシステム研究科の塩崎先生から講義して頂いた部屋が、ノーベル賞を受賞された山中伸弥先生が、初めてiPS細胞についてのアイデアを語られた講義室であることに参加生徒は驚いていました。
このキャンプは、6日間という短期間でしたが、科学に対する意欲が高いアジアの高校生が奈良に集まり、共通の課題に取り組み議論することにより、考え方や取り組み方の違いを認識する有意義な機会となりました。