2016年度 活動レポート 第47号:東京理科大学

2016年度活動レポート(一般公募コース)第47号

日本発の光触媒に触れた中国の研究者たち

東京理科大学からの報告

8月28日~9月17日までの3週間、科学技術振興機構(JST)のさくらサイエンスプログラムの支援により、中国・東北師範大学から教員1名、ポスドク1名、大学院生2名、学部生1名が東京理科大学野田キャンパスにある光触媒国際研究センターに滞在して共同研究を行いました。

本招聘プログラムに参加した東北師範大学 張教授達一団

本招聘プログラムはさくらサイエンスプログラムの「共同研究活動コース」ということで、日本発の世界に誇れる科学技術の1つである光触媒に関する共同研究を行うことにより、基礎知識・技能を習得してもらうとともに、光触媒の応用範囲を理解してもらうことも目的としました。また、日本の最先端の科学技術や文化に触れることで、その素晴らしさを実感してもらうことも目指しました。

初日に当センターを見学した後、研究テーマについてのディスカッションを行い、「表面欠陥を導入したTiO2(B)の光触媒活性」、「超薄膜TiO2を被覆したSiO2エアロゲルの光触媒活性」、「光電気化学的な水の酸化に向けたヘマタイト電極の新規合成手法」に関する研究を行うことにしました。

翌日からはそれぞれの学生がセンターの学生と協力しながら、積極的に研究活動に取り組みました。東北師範大学の研究室では普段使用しない実験装置を操作し、新しい経験に緊張しつつも楽しんでいる様子でした。

本学学生(右)との共同研究の様子
本学学生(左)との共同研究の様子

第1週目に神楽坂キャンパスを訪れ、数学体験館と近代科学資料館を見学し、身近な数理現象や計算機の歴史を学びました。同日夕方には、藤嶋学長やセンター所属教員にご出席いただき、歓迎会を開催しました。忌憚のない会話を通じて親睦を深める、大変有意義な時間となりました。

歓迎会の様子

期間中には張教授に「ありふれた元素で構成される酸化物の表面技術による光エネルギー変換の効率化」、王博士に「ヘテロ界面を活用したTiO2(B)の光触媒活性の向上」に関する特別講演をしていただきました。彼らの最先端の研究成果を聴講しようと満員の会場は熱気に包まれておりました。また、センターの大学院生が研究内容を両先生に英語で紹介する機会を設け、貴重な意見をいただくことが出来ました。

張教授による特別講演
本学学生による英語での研究内容紹介

プログラムの後半には、3名の学生が藤嶋学長とディスカッションをする機会を設け、学生達はセンターで得られた研究成果について熱心に説明していました。帰国後も、本招聘プログラムで取り組んだ各自のテーマを継続して行うとのことなので、今後の共同研究への足掛かりを築けたと思います。

藤嶋学長とのディスカッションの様子
ディスカッション終了後、藤嶋学長、本学教員との集合写真

週末には、日本科学未来館、三菱みなとみらい技術館、浅草寺、東京スカイツリーに出かけ、日本の科学技術や文化について学ぶ機会を得ることができました。

日本科学未来館を見学

今回の交流プログラムの実施を通して、短期間で新しい環境へ順応し、熱心に研究に取り組むことで成果をあげる中国の優秀な学生との交流を持てたことは、大きな刺激となりました。

また、本招聘プログラムは2018年度までの複数年度計画であるため、継続的な大学間交流を築き上げる礎となりました。このようなきっかけを作って頂いたJSTさくらサイエンスプログラムに深く感謝いたします。