2016年度活動レポート(一般公募コース)第46号
フィリピンの獣医学部生が最先端の科学と環境保全について学ぶ
熊本大学薬学部からの報告
平成28年9月4日〜9月11日、熊本大学薬学部では、フィリピン大学ロスバニョス校獣医学部の学生9名と教員1名を迎え、熊本大学、さらに県内各所において最新の医薬や獣医学に関連する研修を実施しました。
台風12号の進路次第では、福岡空港への到着が危ぶまれましたが、予定通り何とか無事に到着。その翌日は実質の初日として、全体のオリエンテーションに続き、最新の薬学に関する講義と実習を熊本大学薬学部にて行いました。
2日目は、水俣市役所にて、環境保全に関する取組について、その概要に関するレクチャーを受講した後、水俣病資料館にて、水俣に暮らす人々と水俣病の背景や歴史について学びました。昼食後は、国立水俣病総合研究センターを訪問し、水俣病および水銀中毒に関する研究成果について紹介していただきました。さらに、県立水俣高等学校を訪問し、環境保全に関するワークショップを実施。高校生との混成チームを3つ作成し、「環境保全活動」という内容で討論した内容をチームごとに発表しました。
3日目は、熊本大学動物資源開発研究施設(CARD)にて、最新のマウス生殖発生技術を学ぶため、講義と実習による1day short programに参加しました。
4日目は、熊本県農業研究センター畜産研究所にて、研究所の概要や家畜の飼養管理技術、さらには生産性および品質向上のために開発された様々な技術についてレクチャーをしていただきました。
5日目は、初日に引き続き、最新の薬学に関する講義と実習を熊本大学薬学部にて行いました。
実質的な最終日である6日目には、熊本の文化、歴史、自然、環境について実際に触れながら学ぶべく、熊本阿蘇地域におけるフィールドワークを行いました。
本プログラムでは、フィリピンの将来を担う若手獣医師の卵たちに対して、最新の医薬や生殖発生研究の知見や技術、更に家畜の生産管理や環境保全に関する歴史や取組などを体験的に学ぶ場を提供することで、持続的に発展する国際社会の構築において、その一助として貢献できたのではないかと考えております。
本プログラムを実施するにあたり、多大な貢献やご協力いただいた水俣市役所、水俣病資料館、国立水俣病総合研究センター、水俣高校、熊本県農業研究センター、本学の教員、事務職員ならび学生の皆様に対して、深く感謝いたします。また、この度は貴重な機会、そして多大なご支援を頂きました科学技術振興機構のさくらサイエンスプログラムに対して厚く御礼申し上げます。