2016年度活動レポート(一般公募コース)第34号
台湾の学生とともに再生可能エネルギーを考えて、創って、また考える
大阪工業大学からの報告
8月20日から26日までの7日間、JSTの「さくらサイエンスプログラム」の支援を受け、台湾の国立台湾科技大学化学工学科から10名の学生および教員1名を招聘しました。
台湾科技大学および大阪工業大学応用化学科の学生たちが「再生可能エネルギーの創出を指向したPBL(Project Based Learning)型研修プログラム」に取り組みました。
ウェルカムパーティーでは、本学の学生自らが企画し、台湾の学生たちのおもてなしをしました。特に、日本の伝統文化の1つである茶道を体験して頂きました。また、台湾の女子学生達は着物を体験し、終始満足そうな様子でした。このことで両国間の固い絆が築かれたのではないかと思います。
初日には、開会式の後、オリエンテーション、大学紹介、研究設備や学内施設見学などを行いました。プロジェクトに先立ち、教員から「再生可能エネルギーの創出―量子ドット太陽電池の作製と評価」というテーマで講義を行いました。
実習では、近年、太陽光エネルギー変換材料の1つとして注目されている銅-インジウム-硫黄系複合硫化物太陽電池をソフトプロセス法により作製し、太陽電池特性および物性の評価を行いました。各チームとも実験初日から積極的に英語で議論し、その日の課題や実験内容を話しあい、試行錯誤しながら熱心に実験をしていました。
また、エネルギーや環境問題について、議論する機会を設けました。日本と台湾のエネルギー事情について、学生から発表してもらい、それらを基に省エネ技術や近い未来のエネルギー事情について意見交換をしました。英語でのディベートとなりましたので、学生にはかなりハードルが高かったと思いますが、各国のエネルギー問題を考える良い機会になったようです。
4日目の午前中に、大阪府堺市にある関西電力堺港発電所と堺太陽光発電所を訪問しました。天然ガスを燃料とした熱効率の優れたコンバインドサイクル方式を採用した火力発電所、および薄膜シリコン型太陽光発電所の見学を行い、最新のエネルギー創出技術に触れました。午後には、日本人の学生が奈良公園や東大寺へと案内し、親睦を深めることができました。
実験終了日には、グループごとにプレゼンテーションを行ってもらい、特に、太陽電池の高効率化に向けた課題について議論しました。中でも優秀なプレゼンテーションを行った2グループには、優秀賞を授与しました。
参加した日本人の学生からは、英語によるコミュニケーション能力を更に身に付ける必要があると感じた、というコメントがありました。また、台湾の学生からは、日本文化を学べたことや、色々なところに行くことができたことを喜ぶコメントが多く寄せられました。
最後になりますが、再生可能エネルギーの創出をテーマとしたPBL型研修プログラムを遂行するにあたり、多大なるご支援を賜りましたJSTの「さくらサイエンスプログラム」に心より感謝申し上げます。