2016年度活動レポート(一般公募コース)第31号
フィリピンの大学生が来日して神戸で農業を学ぶ
神戸大学農学部からの報告
JST 「さくらサイエンスプログラム」の支援により、2016年7月18日から27日までの10日間、フィリピン大学ロスバニョス校(UPLB)農学部の学生を10名招へいし、日本の食料・食品生産技術を紹介するプログラムを開催しました。
本プログラムは、3つのセクションを組み合わせて構築しました 。
(1)農学における先端技術に関する講義
(2)見学・実習によるそれらの体験
(3)日本人学生との文化交流
(1)では、3日目~5日目の午前に、それぞれ植物科学・動物科学・食品科学に関する講義を行い、日本の動植物・食品生産における最先端技術を紹介しました。
(2)では、神戸市内・神戸大学のさまざまな施設を訪問しました。5日目の澤の鶴株式会社訪問では、酒造りの現場を見学し、学生達はその徹底管理されたシステムに深く感銘を受けたようでした。7日目の篠山の農業現場見学では、真南条上営農組合を訪問して篠山・日本農業の抱える問題点と将来へ向けた取り組みについてお話を伺いました。さらに、篠山屈指の大規模農家丹波たぶち農場を訪問し、大型・最先端農機を見学しました。
さらに、8日目午前には、「次世代施設園芸導入加速支援事業」の一環として兵庫県加西市に設立された大規模施設園芸団地「兵庫ネクストファーム」(3.6ha)を訪問し、コンピューター制御された温室におけるミニトマトの水耕栽培、排出された二酸化炭素の光合成への再利用システム等、最先端設備を見学しました。午後には、神戸大学附属食資源教育研究センターを訪問し、和牛肉生産の現状を見学するとともに、トレーサビリティーにも生かされる日本独自の鼻紋による個体識別の説明を受け、各自鼻紋をとる作業を体験しました。また、センターの果樹園で野生ナシのコレクションを見学し、作物系実習では、日本式とフィリピン式の田植えの仕方の違いについて説明を受けた後、実際に日本式田植えを体験しました。
また、(3)の文化交流を促進するため、招聘したUPLB学生を3-4人ずつ3班に分け、それぞれにほぼ同数の日本人学生をファシリテーターとして配置しました。そして、これらグループ単位でのGuided Interactionの時間を3回設けました。
(i) 2日目午後:学内施設・近隣施設の案内、ならびに、(ii) (iii) の計画立案。
(ii) 6日目(休日):自分達で議論して立案した計画に沿って、箸づくり体験、姫路城見学等さまざまな文化交流を行なった。
(iii) 9日目午前:各学生の専門を考慮し、自分達で立案しアポイントをとった教員の研究室を訪問し、最先端研究の現場を見学した。
これらの活動を通して、UPLB学生は日本の文化・考え方を深く知ることができ、また、日本人学生も日本の文化を深く知り、造詣が深まりました。
最終日の閉講式では、このプログラムで学んだことをUPLB学生が20分にまとめて発表しました。最後に修了証書が手渡され、名残を惜しみつつ10日間のプログラムを終了しました。