2016年度活動レポート(一般公募コース)第23号
生物多様性保全を学ぶため、中国の研究者たちが来日
(一社)国際善隣協会からの報告
中国は世界でも有数な生物資源大国で、その多様性に富みますが、近年の経済発展と近代化の中で、生物と人間の調和のとれた状態を保つことが厳しいものになりつつあり、政府も自然保護区の充実によって、その調和を取り戻すための施策を講じています。
社会も次第にこの分野に対し関心を高めていますが、今回来日した中国生物多様性保護及び緑色発展基金会の11名の研究科たちは、こうした潮流の中で育まれ、自然保護の第一線で活動する優秀な人達です。
一行は、6月12日~18日の日程で日本に滞在し、「日本の生物多様性保護に関する政策、また、その問題点に関して学び、日中関係者の交流を行う」ことをテーマに交流計画を実施しました。
本分野における日中交流は極めて少なく、今回が最初といってもよく、したがって、訪問先の選択では、分野の性格上、政府の政策及び施策を聴くことが重要であり、そしてその範囲も広範であり、環境省においては1) 日本の生物多様性国家戦略につぃて、2) 国立公園における生物多様性保全の取り組み、3) 日本の鳥獣保護管理について、4) 希少種の保全施策についての講義を受け、実際面では多摩動物公園の視察では休園日にも拘わらず、臨時開園してもらい、生物多様性保護の分野における多摩動物園の役割の講義を受け、園内視察では鳥類の人工繁殖の手技の披露がありました。
また、森林総合研究所では日本の森林保護政策と農地保護のための獣害対策、また、生憎雨天だったため植栽林の見学は割愛し、園内にある木材建築の特色を追及した日本家屋を見学しました。さらに川崎の生田緑地において都市近郊における人間社会と自然生態のあり方の1つを体験しました。
短期間であったが今回の視察研修は概ね高い評価を受けました。今回の視察を通じ、実感したことは、東京には鑑賞及び学習のための適当な植物園が無いことです。今回、小石川植物園を見学したが、当園が東京大学理学部の付属植物園であり、園内説明の用意はなく、今回の中国からの参加者にはあまり評価は高くありませんでした。日本があまりに緑が豊かなため、緑に対する価値観があまりないのかもしれない。