2016年度活動レポート(一般公募コース)第21号
タイの大学生を招いて情報技術研修
神奈川工科大学からの報告
2016年5月26日~6月4日の10日間、タイのチュラロンコーン大学(Chulalongkorn University)より学部3、4年生10名を招いて情報技術研修を実施しました。研修では科学館見学や外部研究機関訪問、学内での研究室・施設見学、情報学部教員による特別講義や小グループに分かれての研究室体験などを行いました。
本プログラムは昨年度に引き続き「さくらサイエンスプログラム」の支援を受けて実施できたもので、同大学と本学の交流をさらに深め、また本学の日本人学生が招へいした学生たちから刺激を受ける大変良い機会になりました。
1日目は歓迎会を開き、招へいしたタイの学生たちとプログラムに携わる本学の教員、スタッフ、研究室体験で指導・サポートにあたる日本人学生たちとの交流を図りました。
2日目は学内の施設見学を行った後、研究室体験を行うため5つのグループに分かれて配属先の研究室を訪れ、教員や学生たちから研究テーマやスケジュールの説明を受けました。3日目以降は、2日間を科学館見学と外部研究機関訪問にあて、残りの6日間は学内での特別講義の受講と研究室体験を行いました。
5月29日には日本科学未来館を見学しました。本学学生との交流も兼ねて学生団体「インターナショナルクラブ」と共同で実施し、招へい学生10名のほか、留学生を含む本学学生22名と引率スタッフ1名も参加しました。学生たちは「ASIMO」の実演や常設展のほか、企画展「GAME ON」を熱心に見てまわり、日本の技術やゲームの歴史に感心していました。またタイの学生と本学の学生たちが親しくなるきっかけにもなりました。
6月1日には、各機関の関係者の方々からご協力いただいて、茨城県つくば市にある産業技術総合研究所(産総研、AIST)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)を訪問しました。産総研ではセラピー用ロボット「パロ」など様々な展示物を見て、触れて、体験しました。JAXAでは、職員の方々による説明を受けながら宇宙飛行士の訓練施設や宇宙船との管制施設などを見学し、宇宙空間の体験もさせてもらいました。日本の科学技術の高さを実感してもらう大変有意義なツアーとなりました。
学内では主に、10名が情報学部の5つの研究室に分かれて研究室体験を行いました。学生たちは担当教員の細やかな指導と研究室に所属する日本人学生のサポートを受けながら、各自があらかじめ選んだテーマについて課題設定や実験に取り組みました。同時に、5名の担当教員による英語での特別講義も行われ、日本人学生も交えて全員で受講しました。なお、研究室体験で各自が取り組んだ研究テーマは下記のとおりです(カッコ内は担当教員名)。
1- Datamining of eye tracking data for designing effective digital documents(情報工学科 松本一教教授)
2- Motion recognition using optical camera image for sign language(情報工学科 田中博教授)
3- Leaf recognition by using image processing and machine learning techniques(情報工学科 陳幸生教授)
4- Image database system for photo sharing service (情報工学科 鷹野孝典准教授)
5- Copyright protection technique for 3D printing (情報ネットワーク・コミュニケーション学科 上平員丈教授)
10名はさくらサイエンスプログラム終了後も本学の研究生として8月4日まで日本に滞在し、上記のテーマに沿って研究を継続し成果発表を行いました。これらの研究の一部は、学生たちがチュラロンコーン大学に戻った後も、同大学の理学部画像・印刷技術学科の先生方や本学の担当教員の指導を受けながら継続される予定です。中には帰国後に再び来日して本学で研究生としてさらに数ヵ月間、研究を続ける予定の学生もいます。
本プログラムは、招へいしたタイの学生たちにとって日本の最先端の科学技術に触れ、日本での生活・留学体験をする貴重な機会になりました。一方で本学の日本人学生たちにとっても、招へいした学生たちを通じて異文化に触れ、英語でのコミュニケーションに挑戦し、語学力を高めるのに役立ちました。また、何事にも一生懸命、真摯な態度で取り組むタイの学生たちの様子を間近に見て、大いに刺激を受けた様子です。
最後に、本研修に対していただいたさくらサイエンスプログラムのご支援と、関係者の皆様のご指導・ご協力に厚くお礼申し上げます。