2016年度 活動レポート 第5号:北陸先端科学技術大学院大学

2016年度活動レポート(一般公募コース)第5号

自作パソコンを繋げて並列電子状態計算を体験

北陸先端科学技術大学院大学からの報告

2016年7月11日〜7月20日の日程で、「スパコンを用いた電子状態シミュレーション」をテーマに、タイ/3機関、マレーシア/1機関、インド/2機関、中国/1機関、ベトナム/1機関から計8名の学部学生を受け入れて、実習形態の研修を企画・実施しました。

参加者が自作PCを自ら設定して並列計算機を構成し、電子状態シミュレーションの高速化を体感するという課題に取り組みました。国籍や性別の違う2名ずつで一組になり、協力してLinux計算機システムを構築するという内容から、参加者間交流、及び、TAとして協力してくれた本学所属の日本人学生との交流が自然と進む構成となりました。

本学側大学院生がJSTサイエンスキャンプなどでの実施経験を活かして講義を主体的に進めたため、参加者にとっても、質問や不明な点を率直に相談しやすく、真に双方向コミュニケーションが確保されたスタートアップとなりました。

一連の全体チュートリアルと、電子状態計算や統計解析の基礎座学を終え、無事、週末を迎えました。希望者には、別途、購入してあった最新のパーツ一式を提供し、その組み上げと設定にチャレンジしてもらうよう計画していましたが、全ての参加者が週末中にも、研究室に参集し、互いに議論・確認しながら、今度は全くアシスト無しで自らの手で並列計算を手掛けており、その積極性の高さには感心しました。日曜日には、研究室所属の日本人学生が野外バーベキューを企画し、全参加者が飲食や花火を楽しみました。

実験室を見学する参加者たち
自作の計算機ノード構築風景
自作クラスタ計算機の前で

終盤の祝日には、金沢市の史跡見学が企画されました。金沢の認定ガイドでもある本学の川西教授が随行し、内容の濃い史跡ツアーを経験する事が出来ました。

兼六園にてガイドの説明に耳を傾ける

最終日には、各プロジェクトのまとめについて議論や質問のセッションが設けられました。参加者はいずれも、出身各国の最高学府で学ぶ、数物系大学院進学を目指す学部学生達であり、今回のプロジェクト研究を、国際共著論文参画のきっかけとすべく、今後の活動方針について活発な質問がなされました。

優秀なアジア学生の受け入れは、本学日本人学生にとっても大変有益で、研究室内の近い距離感で、互いに刺激され、与え合う事で、学生が能力を伸ばしていく様子が見て取れます。海外との交流チャネルは、研究室単位個別の繋がりに大きく依存してきた側面がありますが、学生が興味を持つ分野や、学内の研究室陣容も経時変化するため、大学機関、ひいては、日本全体としての継続的求核力を維持するには本事業のような、国としての包括的バックアップは極めて重要です。

本学は、学生の4割超が外国人留学生で占められ、全て英語で履修可能といった国際性が高いという特色を持ちます。優秀なアジア学生の獲得は、本学にとっても重要な生命線の一つですが、留学を志す学生から見て、我々が欧米と比較して十分な魅力をアピール出来るかを常に意識する必要があります。本学の場合、関東・京阪神と比べ、地理的にも注目度が低くなるため、本事業を通じて、積極的にアピールの機会を確保できたことは、大変有り難いです。今回も期間中、本学への進学を調査する学生が数名居り、此の度のプログラムは本学にとっても貴重な機会となりました。

修了証の授与