さくらサイエンス・ハイスクールプログラム 第38号
好奇心と集中力が君たちの未来を拓く
ノーベル賞の天野教授がアジアと日本の高校生に特別講義
国立研究開発法人科学技術振興機構
2014年ノーベル物理学賞を受賞した天野浩博士(名古屋大学大学院教授) が8月6日(木)、都立戸山高校でアジアの高校生たちに向けて特別講義を行いました。
受講したのは来日中のさくらサイエンス・ハイスクールプログラムのインドネシア・ブルネイ・台湾の高校生たち78名と戸山高校のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)クラスの100名の高校生です。
講演は「Lighting the Earth by LEDs」(LEDで地球を照らす) のテーマで、英語で行われました。
天野先生は、まずスタートに「皆さんも将来、ノーベル賞を取ったとき、知っておくときっと役に立つでしょうから」と、高校生たちの緊張を解きほぐしながら、話を始めました。
受賞の連絡は飛行機に乗っていたので知らなかったという話や、授賞式でのさまざま様子、関連行事についてたくさんのスライドと共に説明してくれました。
そしていよいよ本題の青色LEDです。19世紀まで明かりは原始的な焚き火やろうそくで、その後白熱球が生まれ、蛍光灯、そしてLEDに至るという明かりの発展の歴史を分かりやすく解説してくれました。
また、ノーベル賞の受賞理由となった青色LEDに興味をもったのは、卒論のテーマに赤崎教授が取り組んでいた青色LEDに注目したのがきっかけで、これを完成すれば世界を変えられる、と思ったからだそうです。
さらに良質な窒化ガリウムの結晶をつくるため、1500回以上も実験を繰り返しては失敗、そしてついに低温バッファー層を発明することで成功し、青色LEDの研究が急進展することになったエピソードなど、自身のこれまでの研究を振り返りながら語ってくれました。
最後に、将来のLEDは、身近なスマホの液晶ディスプレイはもとより、カプセル内視鏡などの医療分野、さらに光遺伝学分野など、これからの社会に役立つ可能性を多く秘めていると語り、講義を締めくくりました。
講演後、高校生たちは「成功にとって必要なものは何か?」「素晴らしいアイデアはどのように生まれるのか?」など次々と天野先生に質問を浴びせます。
先生は「成功のイメージをしっかりもつことが大切」「さまざまなことに興味をもち、集中してロジカルに考えること」など、ひとつひとつの質問に丁寧に答え、約1時間の特別講義は終了しました。
講演後は校長室に移動し、12人の高校生らが天野先生を囲んで楽しいランチとなりました。このランチ懇談会でもたくさんの質問が出され、高校生たちはすっかりと打ち解けた様子でした。