さくらサイエンス・ハイスクールプログラム 第32号
ブラックホールの不思議に魅せられた科学者の卵たち
さくらサイエンス・ハイスクールプログラム(第4グループ)
国立研究開発法人科学技術振興機構
大型台風が関東に接近している7月16日朝、中国からの高校生35名が東京工業大学大岡山キャンパスを訪問しました。
百年記念館にて、大学の組織や歴史、留学制度、キャンパスライフなどについて説明を受け、偉大な科学者や技術者を次々と輩出してきた同大学の歴史に感銘したあと、記念館地下の博物館を訪れました。
その記念館には、前日に実験教室で指導を受けた、ノーベル賞受賞者の白川英樹先生のコーナーがあり、高校生たちは見覚えのある面影に驚き、展示してあるノーベル賞のメダル(レプリカ)の写真の前で記念撮影をしていました。
そのあと、理学部物理学科の細谷暁夫教授による、ブラックホール(BH)に関する講義を受けました。「1センチのBHは象を飲み込めるか」という問いかけで始まった宇宙現象の不思議に関する講義は、高校生を魅了してやまず、投影するBHの写真や動画も感動的な色彩と不思議さで、皆、釘付けになりました。
講義後の質疑応答では、「BHのエネルギーはどのように放出されるのか」「複数のBHが衝突したらどうなるのか」「BHの中はどうなっているのか。一旦、入ったら戻ってこられるのか」「BHは重力に影響を与えるのか。その結果、時間の流れに影響することがあるのか」「BHが消滅するときには、どのような現象が起こるのか」等、高校生からの質問が途切れることなく続き、それら1つ1つに細谷教授は丁寧に真摯に答えられていました。
正門前で集合写真を撮影した際には高校生の一人が「東工大は有名な大学にもかかわらず、正門が控えめなので興味深い」と感想を話しました。中国の大学は有名無名にかかわらず、正門は立派に豪華に建設するのが一般的とのことで、文化の違いを感じたようでした。
ランチの後は、現在、東工大に留学している中国、韓国からの学生との交流のひとときを持ちました。「日本とあなたの国と違いは?」「日本で最も印象深かったこと、驚いたことは?」「あなたの国にあって、日本には無いものは?」といった3つのテーマで小グループに分かれてディスカッションを行いました。
街中に出ることも殆どないスケジュールのなかで高校生が感じた文化の違いについて、それぞれが熱心に自分の印象・考えを皆と共有していました。