特別寄稿 第36号
Asian High School Students Invitation Program 2015
執筆者プロフィール
- [氏名]:
- 高嶋 孝明
- [所属・役職]:
- スーパーグローバル大学推進室長・国際協力センター教授
プログラム | ||
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1日目 | 終日 | 各国より中部国際空港へ到着 |
2日目 | 午前 | 開講式,オリエンテーション,留学生による大学紹介 キャンパスツアー(講義棟、図書館、カフェテリアなど) |
午後 | エレクトロニクス先端融合研究所・半導体製造クリーンルーム見学 歓迎会 |
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3日目 | 午前 | 日本文化体験(筆作り、書道) |
午後 | 模擬講義(電気・電子工学系)、研究室・実験見学、学生課外サークルの見学 | |
4日目 | 午前 | トヨタ自動車製造ラインおよびトヨタ会館ミュージアムの見学 |
午後 | 岡崎城および三河武士の館の見学 | |
5日目 | 午前 | 研究室見学、人間・ロボット共生リサーチセンター見学 |
午後 | 愛知県立時習館高等学校生と交流会 | |
6日目 | 午前 | 浜松科学館見学 |
午後 | 名古屋市見学 | |
7日目 | 午前 | 中部国際空港より帰国 |
プログラムの概要
豊橋技術科学大学ではスーパーグローバル大学事業の基幹となる「グローバル技術科学アーキテクト養成コース」を2018年度より新設する。コースの一つの大きな特徴は、学部1年次入学生の20%近くを外国人留学生とすることである。また、その入学要件に日本語能力は課さず、英語を含む基礎学力と面接の総合判断で選抜する。しかしこのコースは一般によくある、英語が得意な学生だけを隔離したコースとも、英語だけで授業を行うコースとも異なる。留学生と日本人、さらには一般コースの学生が同じ教室で、日本語と英語を併用した「バイリンガル形式」で講義を受け、大学全体のグローバル化を促進するものである。
入学した留学生は、英語で専門の勉強を始めながら並行して日本語力を高め、コース修了時には日本語能力検定1級が取得できるレベルにまで高めるカリキュラム設計となっている。これにより、日本で技術科学を学び、日本を含むグローバル社会で活躍したいという高い意欲を持つ海外の若者に、これまでになかった新しい日本留学エクスペリエンスを提供しようとするものである。
この新しいコースの魅力をアジア各国の若者に伝えるために、これまで深いつながりのある国の優秀な高校生を日本に招待した。日本の大学の勉学や研究の実際、日本文化と留学生生活、キャリアパスなどの情報を得て、日本留学の魅力を知ってもらうことを目的とした。実施に先立ち、各校の校長等を事前に招待して趣旨を伝えた。プログラム実施にあたっては、高校生だけでなく進路指導などの教員も招待して、日本留学に対する理解と留学意欲を高めることを狙った。
- 招いた国と高校
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● ベトナム: レホンフォン高校(高校生3名,教員1名)● モンゴル: 新モンゴル高校(高校生3名,教員1名)● マレーシア:チュンリン高校バターワース校(高校生2名,教員1名)● ジッシン高校(高校生2名,教員1名)
プログラムの成果
アジアの高校生が日本への大学留学を憧れる動機は,日本の優れた技術を学び,将来優秀な研究者・エンジニアとして活躍することである。そのため、大学の最先端の研究紹介や、世界に類を見ない半導体デバイス製造ラインやリサーチセンターを見学した。また、トヨタ自動車の製造ラインやミュージアムなどを見学して、大学と日本企業の最先端技術を見学して理解を深めた.研究室見学や模擬講義では活発な質問が飛び交い,脳波測定や電化道路電気自動車試乗では、体験を希望する学生が後を立たず、高校生の先端技術に対する強い関心が伺えた。プログラムの実施後に行ったアンケート結果からも、最先端技術の見学や体験への評価は高く、学生は日本への留学希望を高め、同行した教員も大学と留学の価値を理解したことが分かり、一定の目的を達することができた。
受入れ実施の効果
今回のプログラムは、単なる交流ではなく、スーパーグローバル大学として新設するコースの魅力発信と、入学希望留学生の具体的な確保を目的として、全学の学生と教職員に幅広く協力を求めて実施した。説明は全て英語で行い、協力した学生と教職員にとっても、バイリンガル講義をはじめとする大学のグローバル化において、英語力向上の必な要性を肌で実感しその認識を高め促進する一助になったと考える。また、参加学生と教員からのフィードバック、一部実施した学生の両親との面談から、新設コースおよび大学の魅力の効果的な国外発信と、招待プログラムの今後改善に有益な情報を得ることができた。
将来の課題と展望
今後も、対象国を拡大し、継続的にアジアの優秀な高校生の招待プログラムを続けて実施する予定である。それにかかる経費と労力の負担増大は課題であるが、費用対効果に常に目を向けた能率な企画・運営と、費用を自費で払ってでも参加したなる魅力あるプログラムに高める努力を継続的に実施していく所存である。