特別寄稿 第34号
高度に技術を発展させる可能性を紹介
光井 綾
執筆者プロフィール
- [氏名]:
- 光井 綾
- [所属・役職]:
- 公益財団法人高知県国際交流協会スタッフ
公益財団法人高知県国際交流協会の活動報告
プログラム | ||
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1日目 | PM | 関西国際空港より来日、高知市到着 |
2日目 | AM | 高知工科大学訪問、留学生による研究発表、学生食堂体験 |
PM | 同大学研究室訪問(情報・環境・機械)、日本文化体験(茶道・華道) 歓迎夕食会 |
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3日目 | AM | 高知大学農学部訪問、施設及び海洋コア総合研究センター見学 |
PM | 同大学医学部付属病院ヘリポート等施設見学・医療訓練機器操作体験 同大学朝倉キャンパス学生交流会、理学部サイエンスギャラリー見学 |
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4日目 | AM | 高知県立大学健康栄養学部訪問、研究発表 |
PM | 同大学看護学部施設見学、災害看護講義 文化学部学生等交流会、高知城見学 |
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5日目 | AM | 高知工業高等専門学校訪問、授業参観、コンピューター室等見学 |
PM | 兼松エンジニアリング(株)明見工場・本社見学 (株)技研製作所工場・本社見学 |
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6日目 | AM | 高知市内視察 |
PM | 研修報告会兼送別会 | |
7日目 | AM | 高知市発 |
PM | 大阪市立科学館見学、関西国際空港より帰国 |
プログラムの概要および目的
このプログラムは(公財)高知県国際交流協会(代表理事:青木章泰)が受入機関となって実施し、平成27年9月27日~10月3日の間、中国安徽省内の大学(安徽中医薬大学、安徽中澳科技職業学院、安徽大学)の学生13名及び各校の引率教員3名の計16名を招へいしました。
プログラムの目的として、1つは、独自かつ高度な技術を有する県内企業を視察させることにより、第二次産業基盤が十分でない本県のような環境下でも高度に技術を発展させることが可能なことを紹介すること、次に、科学技術分野の学部を有する県内の高等教育機関との交流によって科学技術に対する関心の向上を図ること、最後に、平成26年に友好提携締結から20周年を迎えた、高知県と安徽省との友好交流の更なる発展を図るためです。
交流プログラムの活動
主な活動内容として、各高等教育機関では施設見学や講義の受講および現地の学生や留学生との交流を中心とした活動、企業訪問では、事業の概要説明や、主力商品の実演を体験しました。
来日翌日の高知工科大学の工学系の研究室訪問では、参加者たちは、見慣れない機器に興味津々の様子で、「寝たきりの老人や体の不自由な人の身体を補助する装置などの研究が進んでいることに感動した」という声がありました。その後、日本の学生による茶道と華道の文化紹介がありました。夕刻には当協会と「高知県・安徽省友好交流委員会」との共催で歓迎会を開催し、参加学生と友好交流委員会との間で交流を深めました。大皿に料理が盛られ、座席を入れ替わりながら会話を交わす高知らしい文化も経験できたのではないでしょうか。
翌日、高知県立大学を訪問した際、看護学部では施設見学や講義を受け、災害看護について教授と参加学生とが熱心に意見交換をしていたのが印象的です。参加者からは、「お年寄りや幼児への配慮が行き届いた看護施設や研究に、人の温かさを感じた」との声がありました。永国寺キャンパスでは、重要文化財である高知城を学生と交流をしながら見学しました。
10月1日には、高知工業高等専門学校及び企業を訪問し、兼松エンジニアリング(株)の本社工場では、同社の主力商品であり東日本大震災の復興にも活躍している強力吸引車による実演を見学しました。その後、(株)技研製作所を訪問し、同社が開発したインプラント工法等についての説明展示を含めた工場や製品の見学を行いました。「防災に対しての進んだ研究、未来への備えに驚いた。また、環境を守ることを大切にしているのが伝わった」という意見があり、防災や減災に対して先進した県を目指す本県の企業から多くの学びがあったようでした。
帰国前日には、高知市内の視察を行い、桂浜では普段見る機会の少ない太平洋に大喜びの様子でした。高知よさこい情報交流館では、よさこい鳴子踊りの歴史を学び、実際に衣装をまとって鳴子踊りを体験しました。夕刻には高知県が主催した研修報告会兼送別会が開催され、学生による研修報告や感想発表の後、送り出し機関3校の引率者それぞれから謝辞をいただきました。参加学生からは「長旅をしないと有意義なものは得られない」という意味の中国の故事を交えての報告を受け、研修が実り多いものとなったことが感じられました。
交流プログラムの成果・今後の展望
全日程を通じて、参加学生はそれぞれの訪問先で活発な質問を行うなど熱心な態度で研修を受けており、日本での就職や大学院への留学に興味を示したようでした。生活においても非常に礼儀正しく社交的で、当初の目的の一つである高知県と安徽省とのさらなる友好促進の一助となったことを実感します。今後、参加者たちが学んだ科学技術や、文化的な側面に対する発見を、それぞれの研究やキャリアへと生かしていただくことを願っています。そして、引き続き、両県省の友好の架け橋としての活躍を期待しています。最後に、この研修が充実したものとなるようご協力いただいた関係機関の皆様、国立研究開発法人科学技術振興機構に感謝を申し上げます。