2015年度 活動レポート 第31号:静岡市国際交流協会 宮本記世乃 主査

特別寄稿 第31号

フーズサイエンスに着目したプログラム
宮本記世乃

執筆者プロフィール

[氏名]:
宮本 記世乃
[所属・役職]:
静岡市国際交流協会主査
 
プログラム
1日目 富士山静岡空港到着、着後オリエンテーション
2日目 静岡科学館る・く・る見学、清水港湾事務所・清水港管理局訪問、清水港、防災施設、八洲水産冷凍マグロ倉庫見学
3日目 フーズ・サイエンスセンター、静岡県工業技術研究所訪問
4日目 前田金三郎商店訪問、静岡浅間神社参拝、静岡県立大学訪問
5日目 有東木わさび農家訪問、そば打ち体験、静岡市長表敬訪問
6日目 静岡市立高訪問、ホストファミリー対面式・歓迎会、ホームステイ先へ移動
7日目 ホームステイ
8日目 修了式、帰国
 

静岡市国際交流協会は、旧静岡市と旧清水市の国際交流協会が合併し、2006年に設立した団体です。旧協会時代から青少年のホームステイを中心とした交流事業を手掛けており、アメリカやフランスの姉妹都市との間で青少年や訪問団の派遣・受け入れを行っています。また、2013年度と2014年度に、「JENESYS2.0韓国との間の招へい事業」を受託し、韓国・京畿道の道庁所在地で韓国最大の電子メーカー・サムスン電子の本社がある水原市に在住、在学する大学生を静岡市に招きました。

今回、さくらサイエンスプログラムに応募するにあたり、対象を水原市在住で、生命工学やロボット工学などの分野で大学進学を希望する高校生にしました。そこで、従来から協力関係にある(財)水原市国際交流センターとの間で業務協力を締結し、当プランの周知や研修に参加する高校生の公募、書類審査、面接選考、事前研修と研修団の引率をお願いしました。募集開始から研修員決定まで1ヶ月という短い期間でしたが、30数名の応募があり、その中から男子6名、女子4名、計10名の高校生が選ばれました。

静岡の冬は温暖ですが、訪問団が滞在した2月15日から22日までの1週間は例年以上に温かい晴天の日が続き、マイナス10度という冬の寒さが厳しい水原から来た高校生を歓迎するかのようでした。その豊かな自然環境に育まれた静岡県は、全国有数の健康長寿県として知られていますが、緑茶やマグロをはじめとした農水産物の生産量が全国第一位で、高品質な農林水産物や食品関連産業が集積し、ライフサイエンス分野で優れた研究実績を持つ大学等の研究機関が立地しています。

今回の研修では、このフーズサイエンスに着目し、日本茶、マグロ、わさびなどの食品関連機関を訪問するプログラムを組みました。また、同世代の日本人と科学技術分野での交流を図るため、スーパーサイエンスハイスクール指定校である静岡市立高校を訪問し、一緒に課題解決に取り組んだり、静岡県立駿河総合高校の生徒の引率で静岡科学館を見学したりしました。いずれも、日本語や英語を交えて、活発に質疑応答や意見交換などを行うほか、事前に用意した韓国の高校生活を動画で紹介したり、K-POPダンスを披露したりして、大いに盛り上がりました。

終了時のアンケートで、最も印象に残ったことの一つとして、同世代の日本人高校生との交流があげられています。膝を突き合わせて語り合うことの楽しさ、国は違っても同世代の高校生として共感できる部分がたくさんあることに気付いたようです。また、日本人との交流として、1泊2日のホームステイを行いました。

事前にホストファミリーとLINEやメールで連絡を取り合い、週末をどう過ごすか相談していたようです。中には、ドラエモンで見た日本の冬の風物詩である「こたつでミカンを食べたい」と言っていた人がいましたが、ホストファミリーと一緒に料理を作ったり、静岡市内の名所旧跡や富士山周辺を訪れたりするなど、日本人の生活習慣に対する理解を深めてもらいました。

研修生のほとんどが初めての海外旅行のため、見るもの、聞くもの全てが驚きかつ新鮮である一方、朝から晩までびっしりと組まれた研修に不安を覚えた人もいたようです。ただ、「学校で学ぶのではなく、水原市の高校生代表として研修を受けに来たので、少しくらい難しくても今後の自分の学習に役立つと思う。

難しい内容を高校生にもわかりやすく説明して下さりありがたかった」「今回の研修に参加したことで日本が身近になった。ぜひ日本の大学に進学したい」などの感想が多く寄せられ、さくらサイエンスプロプランへの参加が将来の進路を決める上で、貴重な体験になったことが伺われます。

清水港の防災対策について学ぶ研修生

修了書を手にし喜ぶ研修生

 

ホストファミリー歓迎会

静岡市立高校生徒と交流

 

静岡県立大学茶学総合研究センター訪問

静岡県工業技術研究所訪問