特別寄稿 第8号
金沢大学環境・エコ技術と政策に関する国際学生交流プログラム
金沢大学大学院自然科学研究科
執筆者プロフィール
- [氏名]:
- 池本 良子
- [所属・役職]:
- 金沢大学理工研究域環境デザイン学類教授
- [氏名]:
- 西脇 ゆり
- [所属・役職]:
- 金沢大学男女共同参画キャリアデザインラボラトリー特任助教
元日中韓環境・エコ技術特別コースプロジェクトオフィサー
プログラム | |
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1日目 | 到着、オリエンテーション、ウェルカムパーティー |
2日目 | 第2回アジア環境・エコ技術と政策に関する国際シンポジウム |
3日目 | 能登環境ツアー(石川北部RDFセンター、のとじま水族館) |
4日目 | 歴史視察(金沢市) |
5日目 | 環境施設見学(辰巳ダム、犀川左岸浄化センター、金沢市西部環境エネルギーセンター) |
6日目 | 教員による講義、環境施設見学(金沢大学環境保全センター、戸室新保埋立場) |
7日目 | グループワーク(金沢大学大学院生とのディスカッション)、修了式、フェアウェルパーティー |
8日目 | 帰国 |
金沢大学では、2014年7~8月に、中国、タイ、カンボジアから大学生と大学院生合計13名を迎え、「金沢大学環境・エコ技術と政策に関する国際学生交流プログラム」を行いました。来日した学生が所属する大学(清華大学、北京師範大学、復旦大学、Kasetsart University, Prince of Songkla University、 Institute of Technology of Cambodia)は、各国においてトップクラスの大学であり、金沢大学と連携関係にあります。本プログラムは環境工学を学ぶ学生を金沢大学に招聘し、アジア共通の環境課題である水質汚濁、大気汚染、廃棄物再資源化等について日本の環境処理施設などの現地視察を交えて学ぶものです。更に,金沢大学自然科学研究科の「日中韓 環境・エコ技術特別コース」(現「環境技術国際コース」)の学生がプログラムに参加し,同じ専門分野の学生同士ので議論することにより,アジア地域の環境問題について相互理解を深めることを目的としました。
留学生は到着翌日、金沢大学に於いて開催された第2回アジア環境・エコ技術と政策に関する国際シンポジウムに参加しました。環境関連分野の最新研究の報告に耳を傾け、積極的に質問をする姿が見られました。また、留学生自身もポスター発表を行い、活発な討議を行っていました。
石川県内の環境ツアーでは、石川北部RDFセンターにてRDF(廃棄物からできた燃料)についての説明を興味深く聞いていました。また、のとじま水族館を訪れ、日本の水族館の技術を視察すると共に楽しい時間を過ごしました。金沢市内の兼六園や歴史ある町並みも見学し、日本文化にも触れました。
プログラム中盤では、環境に関する特別講義を聞き、また金沢市内にある環境関連の施設を巡りました。暑い毎日でしたが、疲れを見せることなく、辰巳ダム、犀川左岸浄化センター、金沢市西部環境エネルギーセンター、金沢大学環境保全センター、および戸室新保埋立場を見学しました。各施設の説明を通訳を通して聞き、質問なども活発に行われました。日本の施設と自国の施設の違いについて考えている様子でした。
このプログラムの特徴の1つは多くの施設を見学することですが、これらの見学は学生達にとってもっとも印象的だったようです。いずれの見学にも金沢大学大学院の学生が同行し,交流を深めていました。
プログラム最終日には金沢大学の大学院生を加えた総勢約30人でグループワークを行いました。6グループに分かれ、国籍の違う学生達と議論を行い、最後に1つの発表にまとめました。お互いの国の違いを理解しつつ討議する姿が印象的でした。発表会では,教員を前に,堂々と発表し,質疑応答も活発に行われました。その後の、修了式では,緊張が解けたようで笑顔で修了証を受け取り,引き続いてのフェアウェルパーティーは非常に盛り上がりました。プログラムを通じて学生同士が仲良くなり、多くを学び、充実した時間が過ごせたことを実感できました。日本での最後の夜を楽しく過ごし、翌日帰国の途に着きました。
留学生の感想からは、環境について勉強になったという声以外に、金沢の街のきれいさや日本人のやさしさを感じたという声が挙がりました。また一緒に学び討議したことで様々な国籍の友人ができたことが良かったようです。
プログラムに参加した日本の学生も、ディスカッションなどを通じ日本人とは異なる考え方に触れ、刺激を受けたようです。また自分の意見を伝える難しさと大切さに気づき、もっと英語でコミュニケーションをとりたいと語学に対する意欲も上がっていました。
日本や金沢の良さ、金沢大学の最先端の研究などについて留学生に伝えられたのではないかと感じています。また逆に日本側のスタッフも海外の若者の気質を知り、その気概を感じるなど、様々なことを今回の交流から学べました。今後も増え続ける金沢大学への留学生の受け入れの際に役立てたいと思います。また今回のプログラムによって、金沢大学と海外協定校との関係が更に深まったと感じています。
さくらサイエンスプログラムによりこのような機会が与えられたことを深く感謝し、より磨きをかけたプログラムを今後も行っていきたいと考えています。