2015年度活動レポート(一般公募コース)第271号
建築および土木構造物の制震設計および性能指定型設計法の2国間共同討議と共同研究
熊本大学大学院自然科学研究科 教授 山成 實さんからの報告
地震が多発する日本の耐震設計技術は建築および土木構造物建設技術の発展に大いに貢献している。中国においても近年内陸型地震の頻度も高まる時代性を鑑みると、最新の耐震設計が注目されている。これらの新しい構造物の設計法として制震設計法や性能指定型構造設計法への進化が期待される。
これらのテーマについて今後の研究への足がかりとして、熊本大学大学院自然科学研究科と中国の瀋陽建築大学土木工程院の教員と学生との共同研究プログラムを企画した。
プログラムは平成28年3月8日から14日の7日間の期間で実施された。参加者は瀋陽建築大学から6名の大学院生と教員2名を招聘し、熊本大学からは大学院生10名および3名の教員である。初日の顔合わせの際に記念撮影をしたが、両大学の今後の交流を継続発展させる初日の顔合わせであった。
3月9日には両大学の大学院生による研究発表会を開き、活発な討論が行われた。これからの建築構造物および土木構造物の耐震設計法の行方について意見交換を行ったことは有意義であった。鋼製の橋梁の模型製作をとおして軽量化を目指すアイデアを出し合い、既に用意された部品を用いた橋梁の模型製作と載荷実験を行った。
建築構造物については、熊本城の構造を実地見学して古来の耐震技術について学んだ。一方、土木構造物については、天草に建設工事が始まった新天空橋の建設工事現場見学会を行った。地震の多い我が国ならではの技術について、建設従事者より実地説明が行われた。
最後に、招聘者全員に修了認定証を伝達した。参加者全員がこの事業に能動的に参加して、各自得た物は少なくなく、将来に向けての指針をもったという感謝と希望あふれるメッセージは寄せられた。この事業を遂行するにあたり、すべての関係者各位の惜しみないご助力に感謝致します。