2015年度活動レポート(一般公募コース)第264号
アジア5か国の若手人材との交流と研究
生物資源環境学の最先端―多様なアジアのフィールドと研究
東京大学アジア生物資源環境研究センターからの報告
東アジア、東南アジア、南アジアの5か国から8名の若手研究者・学生を招いて、2015年11月16日から28日に、さくらサイエンスプログラム共同研究コースBとして、東京大学アジア生物資源環境研究センター(ANESC)で交流プログラムを実施しました。
男性と女性4名ずつ、中国、ベトナム、カンボジア、マレーシア、インドネシア、インドからの元気な若手で、皆、向学心旺盛で、大学院での勉強や、さらなる共同研究案を考えてきてくれた参加者もいました。分野は、生物資源や、環境に関する分野で、耕地、森林、海洋という様々な生態系を対象とし、分子レベルでの植物や藻類についての研究中の参加者もいました。
2週間のプログラムを、生物資源環境学オールラウンドのコアプログラムと、参加者の得意とする分野別のプログラムとに分けました。コアプログラムでは、生物資源環境学全般にわたる重要な研究機関(農業生物資源研究所(ジーンバンク、イネゲノムセンター)、海洋研究開発機構)や東京大学の附属施設(生体調和農学機構、田無演習林、富士癒しの森研究所)の見学を行いました。
農業生物資源研究所では、DNAマーカーを利用した分子育種によるストレス耐性のある稲の育種研究を見学し、またジーンバンクで多数の種子管理を自動制御するプログラムも見学しました。海洋研究開発機構では、地球温暖化と海洋に関する特別講義を聞き、深海探索や深海の生態系に関する展示を見学しました。
東京大学生体調和農学機構では、イチゴとトマトの植物工場と、耕地生態系における植生遷移試験を見学しました。田無演習林では、紅葉の美しい園内を散策し、樹木見本園を見学しました。富士癒しの森研究所では、富士山麓の土壌、生態系、森林管理、森林の多面的機能に関する説明を見学しました。
また、ANESC生物資源環境学セミナー へも参加してもらい、生物資源と環境に関する様々なアプローチの研究内容に触れてもらい、参加者の視点の多層化を図ろうとしました。
さらに生物資源関学に関する重要な科学館として、食と農の科学館(つくば市)、日本科学未来館(江東区)を訪問しました。
分野ごとの共同研究プログラムでは、それぞれ専門のANESCスタッフが対応して、植物分子生態学の手法、電子顕微鏡による藻類の観察、稲の生産生理生態学に関する研究を行いました。
最後に、共同研究の内容や今後の研究計画と抱負を語ってもらい、名誉教授の講演の機会も設け、参加者を母国に送りました。なお、東京大学の国際交流室から、留学の準備や若手外国人研究者のキャリアアップのための情報を提供してもらいました。今後も交流が継続できるとよいと思います。
余談ですが、インドからの参加者は、ベジタリアン志向で、インドの食べ物が好きでしたので。最終日はインド料理店で打ち上げとなりました。マレーシアとインドネシアからの参加者はムスリムではなかったのですが、食物の禁忌に配慮しながらプログラムを持ちました。