2015年度活動レポート(一般公募コース)第211号
学生フォーミュラをテーマにタイの学生と交流
東京都市大学からの報告
東京都市大学では、タイ・泰日工業大学(Thai-Nichi Institute of Technology, 以下TNI) 工学部自動車工学科の学部生10名を招へいし、平成28年2月29日~3月6日までの7日間、さくらサイエンスプログラムによる交流プログラムを実施しました。
今回のプログラムはTNI工学部自動車工学科の学生を招へいし、本学が設計・製作・走行テストを経て開発した学生フォーミュラ車両を題材にして、車両のパッケージング、車体強度計算、サスペンション設計、エンジンや走行性能の最適化などの主要な「自動車工学」を学び、両大学の学生同士のディスカッションを通して、日本及びタイの主力産業である自動車を対象とした「ものづくり」の楽しさや難しさを学びました。
本交流プログラムを通じて、日本、タイ国の未来の自動車産業をはじめ、両国の産業経済界の中で活躍できる人材育成に資する交流の促進を目的として行いました。
2月29日~3月3日の4日間は下記の課題に取り組みました。
課題1:車両のパッケージング
車両のパッケージングの重要な要素を学び、下記課題に取り組みました。
① 過去(2009年~2014年)の全日本学生フォーミュラ大会における競技タイムの分析を行い、次年度大会車両に要求される目標タイムを算出しました。算出された目標タイムより、車両の重量、旋回Gを算出しました。
② エンジン性能や大会コース、実走行中のスロットル開度からエンジンのパワーバンドとギア比を算出しました。
課題2:サスペンション設計
サスペンション設計の基礎(強度計算、ジオメトリ設計)を学び、本校のサスペンション設計の実体験に基づく事例を課題にして、問題解決の検討およびディスカッションを行いました。
課題3:2校の車両の違い(数値データの比較)
学生フォーミュラ車両を造っている工房では2015年度大会に参加した車両を見学し、車両の構造やその特徴に関する技術的なディスカッションを行いました。また、世田谷キャンパスと宿泊しているホテルの中間地点にある東京都市大学の二子玉川の夢キャンパスに展示してある2009年度の大会に参加した車両を見学し、車両の構造やその特徴に関する技術的なディスカッションを行いました。2009年度と2015年度の車両ではコンセプトや設計方針及びエンジンの排気量などが違い、これらの車両とTNIの車両の違いの明確化を課題として非常に活発な意見交換を行いました。
課題以外にも両校の学生フォーミュラチームの紹介や、チームのマネジメント、解析手法、計測方法についても非常に活発な意見交換が行われました。
4日は学内プログラムの最終日となり、「車両パッケージングの課題」「サスペンションの課題」「2校の車両の違い(数値データの比較)」「プログラムを通して学んだこと、ディスカッションした内容」について発表が行われました。その後、本プログラムを通して協力してくれた本学生とともにフェアウェルパーティーを実施しました。
5日は日本科学未来館の見学を行いました。
TNIの学生さんからは、「将来日本の会社でエンジニアとして働きたい」という声や、「留学してこの大学の修士課程で学びたい」という声を聴くことができました。今回の交流によって、学生フォーミュラにおけるタイ日の交流が促進されたと確信し、また、本プログラムが今後益々の発展の一助となることを願っております。